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2012 Fiscal Year Research-status Report

小惑星帯にある天体の不規則衛星への進化

Research Project

Project/Area Number 23740335
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

樋口 有理可  東京工業大学, 理工学研究科, 流動研究員 (90597139)

Keywords太陽系 / 不規則衛生 / 長周期彗星 / 小惑星 / 数値計算 / 天体力学
Research Abstract

本研究の目的は、木星や土星といった巨大惑星が保持する不規則衛星の起源を解明することである。平成24年度は主に、(1)前年度までに開発したコードでの数値計算、(2)天王星・海王星の影響を効率よく計算できるコードの開発、(3)長周期彗星の軌道進化とその可視化、(4)観測計画に関わる議論をおこなった。 (1)前年度に引き続き、太陽、木星、土星の3天体から重力を受けて運動する粒子(小惑星)の軌道の進化を計算した。前年度までの計算に追加し、現在の太陽系で観測されている小天体分布や、小惑星群に集中し、計算を行った。彗星のような離心率の高い天体についての計算はまだ充分とは言えないが、外側からの不規則衛生への供給量は特に木星には少ないことが確認され、各惑星の持つ不規則衛生の物性の違いを指示する結果になった。 (2)これまでは、互いに重力の影響を及ぼさない木星と土星を摂動源として考えていたが、本年度はより多くの惑星と、それぞれの永年摂動による軌道要素の変化を考慮した計算コードの作成に入った。ここでの永年摂動の計算はN体計算ではなく、純粋に解析的に求められた式を使っているため、太陽系に特化した小天体計算が非常に効率よく行えるものである。(3)前年度に引き続き、長周期彗星が小惑星帯などの太陽系内部に軌道進化する可能性を調べた。この進化は、長周期彗星の発生機構(遭遇する恒星のパラメタ)に強く依存するため、異なる恒星セットを用いて計算を追加した。それぞれの結果ごとに可視化を行った。(3)の結果は(2)の巨大惑星すべてを含めた計算結果と併せて議論できるようにしている。(4)太陽系小天体の観測を行う研究者の議論に、理論家の立場で参加し、以上の数値計算結果から有意義と思われる観測対象を提案した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

先に述べた研究実績と照らし合わせながら研究目的達成度を以下に述べる。(1)前年度の計画では、多数の粒子を同時に計算できるコードを開発する予定であったが、ここを変更し、これまで通りの1粒子計算の重ね合わせで必要なデータを出力できるようなコードを作成した。この点で少し予定よりは遅れたが、目標は達成できた。この新しいコードを使った計算を始めることができた。 (2)先行研究(Laskar1988, Ito1992)による定式化を利用し、太陽系8惑星の任意の時刻の軌道要素を出力できるコードを作成できた。N体計算を行う必要がなくなり、計算精度を一定に保つことができるようになった。(3)これまでになかった恒星遭遇のパターンを計算する必要が明らかになったので、似たような計算を行い個数を稼ぐ必要が出てきてしまったが、これらの可視化を行うことで、より分かりやすい研究発表を行うことができた。(4)観測提案は、主に木星の不規則衛星と小惑星ヒルダ群の観測の意義を伝えることができた。
以上をまとめると、本研究はおおむね順調に進展していると言える。

Strategy for Future Research Activity

平成25年度の具体的な計画は以下のとおりである。 (1)円軌道を仮定した木星と土星のもとでのポテンシャル(制限4体問題)から、制限3体問題のポテンシャルとの違いを解析的に示し、これまでの計算結果を説明する。具体的には小天体から遠い方の惑星の軌道を平均し、制限3体問題を修正する。これにより、これまでの数値計算における土星の影響を解析的に説明できるようになると期待される。(2)太陽系の8惑星を含めた小天体の軌道計算を行う。また先に述べた、永年摂動を含めた8惑星の軌道要素の進化を考慮した数値計算(惑星は円軌道ではない)を行うことで、より観測と比較できる結果が得られる。統計的議論が可能となる計算個数を目標とする。計算する小天体は、各天体の族や群ごとにその結果をまとめる予定である。(3)引き続き、小惑星ないし不規則衛星の観測を進めるべく、観測提案書の作成に携わる。このためには他研究機関を含む観測系研究者の協力を得る予定 である。不規則衛星形成の理論につながるような、天体の物理情報を得ることができる観測ができればよいと考えている。仮に、不規則衛星の起源に直接関係のない小惑星や彗星であったとしても、間接的には情報は引き出せるので積極的に観測に関わっていきたいと 考えている。特に、ケンタウルス(巨大惑星領域に存在する力学的寿命が短い天体)は太陽系外縁部から内部への天体流入量を見積もることができる興味深い天体である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

本年度は、国内の惑星科学会、天文学会、ドイツでの国際会議などに参加し成果を発表する。また国内で開催される研究会 には積極的に参加する予定である。物品としては、大量の数値計算に必要な計算機または外付けハードディスクを必要に応じて購入す る。以上を併せて旅費としておよそ50万円、物品費としておよそ20万円、その他としておよそ10万円を使用する予定 である。

  • Research Products

    (6 results)

All 2012

All Presentation (6 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 太陽系初期における彗星と惑星の衝突+α2012

    • Author(s)
      樋口有理可
    • Organizer
      第8回衝突研究会
    • Place of Presentation
      北海道大学低温科学研究所(北海道)
    • Year and Date
      20121118-20121120
    • Invited
  • [Presentation] 恒星遭遇によるオールト雲彗星個数の減少2012

    • Author(s)
      樋口有理可
    • Organizer
      日本惑星科学会秋期年会
    • Place of Presentation
      神戸大学(兵庫)
    • Year and Date
      20121024-20121026
  • [Presentation] Decay of Oort cloud comet by stellar encounters2012

    • Author(s)
      樋口有理可
    • Organizer
      欧州惑星科学会議
    • Place of Presentation
      マドリッド(スペイン)
    • Year and Date
      20120923-20120928
  • [Presentation] 恒星遭遇によるオールト雲の破壊とそのタイムスケール2012

    • Author(s)
      樋口有理可
    • Organizer
      日本天文学会秋期年会
    • Place of Presentation
      大分大学(大分)
    • Year and Date
      20120919-20120921
  • [Presentation] ダークマターハローが太陽系内小天体に与える影響2012

    • Author(s)
      樋口有理可
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合2012年大会
    • Place of Presentation
      幕張メッセ(千葉)
    • Year and Date
      20120521-20120525
  • [Presentation] Formation and Disruption of the Oort cloud by Stellar Encounters2012

    • Author(s)
      樋口有理可
    • Organizer
      小惑星・彗星・流星会議
    • Place of Presentation
      朱鷺メッセ(新潟)
    • Year and Date
      20120515-20120520

URL: 

Published: 2014-07-24  

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