2014 Fiscal Year Research-status Report
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23740335
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
樋口 有理可 東京工業大学, 理工学研究科, 流動研究員 (90597139)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | 不規則衛星 / 小惑星 / 一時捕獲 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、木星や土星といった巨大惑星が保持する不規則衛星の起源を解明することである。平成25年度までは主に、すべての惑星からの永年摂動を考慮した、小惑星の軌道進化の計算プログラムを使って大規模な数値計算を行った。それを受けて、平成26年度は主に解析的な研究を行った。すなわち、前年度までの大規模数値計算結果を天体力学の数式を組み合わせて説明した。具体的には、小惑星が惑星に捕獲されるために満たさなければならない軌道の条件、惑星に捕獲されている最中の、惑星に対する軌道要素の分布、捕獲中の軌道要素と、元の軌道要素の関係を明かにした。その結果、惑星から遠く離れた場所からやってきて捕獲された天体は順行軌道になること、惑星の周辺にあった天体が捕獲されると逆行軌道になることを解析的に示すことができた。また、火星などの小さな惑星は捕獲ウインドがせまく、火星の衛星であるフォボス、ダイモスは捕獲された小惑星ではなく、巨大衝突などで形成された周惑星円盤の中で集積により形成されたと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
大規模数値計算を行ったが、当初の予定より大規模にしたため、結果の解析に時間がかかった。
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Strategy for Future Research Activity |
元々は木星、土星の衛星の起原の解明をめざし始めた研究ではあるが、大規模計算と解析研究の結果は非常に一般的な形で表すことができた。なので、木星土星に限らず、あらゆる惑星に応用できる。今後は太陽系の全惑星について結果を応用し、必要であれば追加の数値計算を行い、それらが不規則衛星を持つことができるか、できるとすればどんな天体を捕獲するのかということをまとめていきたい。また、不規則衛星の新しい観測計画を提案し、不規則衛星の組成や表面構造といった情報を得たい。それを先に完成させた理論とあわせ、惑星が形成された直後の天体分布を予測したいと考えている。
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Causes of Carryover |
未使用額が発生した理由は、まず、計画時点ではデスクトップPCを購入し、大規模数値計算のテスト計算を行う予定であったが、そのテスト計算も含めて、国立天文台の計算機センターの計算サーバで行うことができるようになったため、今年度の購入の必要がなくなったためである。次に、研究の都合上、追加の大規模計算を行うことにしたため、予定していた研究会での発表が困難となり、その参加を見送ったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は、27年度中の国際会議での発表の際の旅費の一部としたい。
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