2012 Fiscal Year Annual Research Report
東海地震の固着域の時空間分布の推定-遷移域・固着域の相互作用の解明を目指して
Project/Area Number |
23740336
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
生田 領野 静岡大学, 理学部, 助教 (60377984)
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Keywords | プレート境界の固着分布 / アスペリティ / スロースリップ / GPS / 南海トラフの巨大地震 |
Research Abstract |
本研究の目的は,東海地方において沈み込むプレート境界面上で強い地震波を出す場所(アスペリティ)の詳細な分布を明らかにすることである.そのためには,沈み込みの進行に伴う固着の分布の時間変化を調べ,常に固着している固着域(=アスペリティ)・定常的なすべり域・固着が変化する遷移域の区分をする必要がある.このために地表のGPSによる変位記録からプレート境界での固着の分布,さらにその時間変化を推定した.下記3つの要素を組み合せて手法の開発を行った.1.気象要素などによる短周期のノイズの除去.2.年毎の地表変位速度に適切な制約条件を導入した固着の空間分布の推定アルゴリズムの開発.3.固着の空間分布の時間変化から,固着域と変動域の分離.具体的には気象要素などによるノイズの除去を行ったGPSの変位記録に対して,間を7日間開けた前後それぞれ10日間ずつの平均値の差を取り,この結果を1日ずつシフトさせながらプレート間固着,すべりを推定する方法をとった.これにより,東海地方を始めとする南海トラフ沿いのプレート境界で,傾斜計,高感度地震計で検出された短期的スロースリップのうち70%程度をGPSで検出できた.得られたプレート間すべりからは短期スロースリップだけでなく,プレート間固着が安定している部分,長期スロースリップが起こっている部分(豊後水道・浜名湖下)でそれぞれ特徴的なすべり履歴を得た.特に固着域と呼ばれる部分の中でも,一定の速度で安定してフィリピン海プレートに引きずり込まれている部分(御前崎沖,熊野灘の一部,足摺,室戸岬沖など)と,すべり速度がゆらいでいる部分(紀伊水道,駿河湾,伊勢湾など)とが見られることがわかった.
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