2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23740341
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
望月 伸竜 熊本大学, 大学院先導機構, 特任助教 (60422549)
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Keywords | 古地磁気強度 / 火山岩 / 九重火山 / 富士火山 |
Research Abstract |
過去数千年間の古地磁気強度の変動は、地球磁場の永年変化や地球表層への宇宙線入射量の変動を正しく把握する上で必要な基礎情報である。おもに欧州の考古学試料による古地磁気強度データは多数存在するが、明らかにばらつきが大きい(Yang et al., 2000)。ばらつきの原因は、精度の低いデータや系統的に偏ったデータであると推察され、平均値を計算するだけでは真の変動を抽出できていない可能性が高い。そこで、本研究では、噴出年代が放射性炭素年代によって報告されている火山岩を選んで、精度の良い新測定法を適用することで、日本における信頼度の高い過去6千年間の古地磁気強度変動を復元することをめざしている。 古地磁気強度測定の結果は、磁性鉱物に依存して大きな違いがあることが知られている。したがって、試料に含まれる磁性鉱物をキュリー温度に基いて把握することは、古地磁気強度測定の結果を正しく解釈する上で必要な基礎情報となっている。そこで、キュリー温度の測定に特化した高感度磁気天秤を購入し、調整を行った。これにより、古地磁気強度測定に適したサンプルを判別できるようになった。 本研究は、九重火山を中心に研究を進める計画であった。調査を進めた結果、九重火山の溶岩は急峻な地形をつくることが多く、古地磁気測定に適した露頭が見つからないケースもあった。13サイトにおいて試料を採取し、これまでに古地磁気方位測定を行った。そのうち、8サイトからは比較的信頼度の高い古地磁気方位データを得た。九重火山では、溶岩の年代は火山灰層との被覆関係に基いて報告されている。溶岩の年代はそれほど精度よく決まっていないので、本研究には適していないことを認識した。そこで、九重火山に限定せず、放射性炭素年代が報告されている溶岩・火砕流を対象に試料採取する方針に改め、現在古地磁気強度測定を継続している。
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