2012 Fiscal Year Research-status Report
厳密な理論波形の作成によるマントル最下部低速度領域速度構造の推定
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23740345
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
藤 亜希子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 技術研究副主任 (70587344)
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Keywords | コアーマントル境界 |
Research Abstract |
パプアニューギニアで発生した地震を北アメリカの観測点アレーで記録したデータのS波コア回折波(Sdiff波)には、顕著な後続波が観測されることが知られている(To et al., 2011). 今年度は、これらの波のパーティクルモーションに着目し解析を行った。 1995年から2010年までにパプアニューギニア付近で発生した深発地震の中から、テキサスに設置されている観測点HKTにおいてSdiff波がsSKS波などの他のフェーズと重なっておらず、単独ではっきりと検知出来る地震を8個ほど選んだ。HKTで観測されたSdiff波及びその後続波は、収集したデータ全てにおいて、半時計回りに楕円形のパーティクルモーションを描くことが分かった。楕円を描くパーティクルモーションは、しばしばS波のSHとSV成分が異なる速度で伝播する地震波速度の異方性の存在により説明される。 これらの地震について、Global-CMT解を用いて震源から観測点へ向かう方位と出射角における、SH波とSV波の極性を計算した。これらは、例えば1997年の地震では、SH波の極性が負、SV波の極性が正と計算される。2004年の地震では、SH波の極性が正、SV波の極性が正となっている。但しSHとSVの正の方向はAki&Richard(1980)の表現に従う。楕円のパーティクルモーションがSHとSVの速度の違いにより生じる場合、1997年と2004年の地震の観測点HKTにおけるパーティクルモーションは逆回りになると予想される。SH波がSV波より速いとき、1997年の地震ではパーティクルモーションが半時計回りに、2004年の地震では時計回りになるはずである。一方、観測される後続波のパーティクルモーションは、震源メカニズムに寄らず常に半時計回りを示しており、単にSHとSV波の速度の違いでは説明出来ないことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
強い不均質構造に対して正しく理論波形を作成出来ているかを確認する作業で、試行錯誤しており、計画よりも遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度行った解析により、Sdiff波及び後続波の楕円形のパーティクルモーションが、単にSVとSH成分の速度差では説明出来ないことが分かった。一方で、これまでの研究により、これらのSdiff波及びその後続波は、コア-マントル境界(CMB)の強い水平方向の不均質をサンプルしていることが指摘されている。そこで、共同研究者と共に、CMB上に強い水平不均質をもつ超低速度領域があるときの、Sdiff波の及び後続波のパーティクルモーションを理論波形の作成により調べる計画である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
正しく理論波形を作成出来ているかを確認する作業で試行錯誤し研究の遂行が遅れたため、H24年度に計画していたナント大学での解析作業の打ち合わせを実行出来ず、残額が生じた。 フランス、ナント大学での研究打ち合わせ旅費、及びカルフォルニア大学バークレー校での研究打ち合わせ旅費を計上する。また、現在は理論波形と観測波形を比較する図を手動で作成しているが、これらの作業を系統的に行う為のソフトウェアの開発費用を計上する。
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Research Products
(2 results)