2012 Fiscal Year Research-status Report
三次元電気伝導度構造からスラブとマントルプルームの物性を明らかにする
Project/Area Number |
23740346
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
多田 訓子 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 技術研究副主任 (00509713)
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Keywords | Magnetotelluric法 / 三次元インバージョン / 三次元電気伝導度構造 / 海洋上部マントル / 地形効果 / フィリピン海 / マントルプルーム / フレンチポリネシア |
Research Abstract |
本研究では、面状に高密度に設置された海底観測点から得た電磁場データを研究代表者が近年開発した『海底電磁場データに対応した三次元インバージョンプログラム(以下、MarineWSINV3DMT)』を用いて解析することで、スラブやマントルプルームとその周囲のマントルの三次元電気伝導度構造を世界で初めて解明することを目的としている。 平成24年度は、MrineWSINV3DMTに導入した海底地形の取り扱い方法とMarineWSINV3DMTを用いたシンセティックテストの結果を論文としてまとめ、国際誌に投稿して受理された(Tada et al., 2012)。さらに、観測点近傍のインバージョンの計算ブロックサイズよりも細かい海底地形の影響を考慮することができるようにMarineWSINV3DMTを改良した。なぜなら、フィリピン海とその周辺には、海溝、拡大軸、島弧などの地形の起伏が激しい場所が多く、インバージョンに使用する計算ブロックサイズでは、それらの細かい地形までを表現することが困難だからである。この成果を含めた論文を共著論文として国際誌に投稿し、受理されている(Baba et al., 2013)。 フィリピン海とその周辺で観測されたデータをMarineWSINV3DMTに適用することで、フィリピン海とその周辺の上部マントルの三次元電気伝導度構造を求めた。さらに、求まった構造の分解能を検証した。この三次元電気伝導度構造の結果は国内や国外の学会で発表した。また、論文として成果をまとめている段階である。 ソサエティー・ホットスポットのマントルプルームを対象とした研究に関しては、三次元構造解析に使用するデータを増やすために、共同研究者のPascal教授が過去に観測したデータ(Nolasco et al., 1998)の再解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、MarineWSINV3DMTを用いてフィリピン海とその周辺の上部マントルの3次元電気伝導度構造を確定する予定であった。さらに、その分解能を検証し、得られた電気伝導度構造から温度や含水量を推定する予定であった。現在までに、構造の確定と分解能の検証を行うことはできた。しかし、温度・含水量の推定を行うには既存の手法では不十分であり、地震波速度構造を組み合わせた新たな解析手法の開発が必須である。したがって、平成24年度では、電気伝導度構造から温度・含水量の分布の推定を行わず、電気伝導度構造からのみ明らかになった特徴を議論した。 したがって、達成度を『(3)やや遅れいている。』とした。
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Strategy for Future Research Activity |
MarineWSINV3DMTを用いて、ソサエティー・ホットスポットの三次元電気伝導度構造を求め、さらにその分解能を検証する。ソサエティー・ホットスポットを対象とした観測は、フランスのブルターニュ大学との協力体制で行っており、一部のデータはブルターニュ大学の共同研究者が所有している。これらのデータを統合することによって、より信頼度の高い三次元電気伝導度構造を得ることができる。得られた電気伝導度構造の解釈や投稿論文の作成を円滑に進めるためには、共同研究者と直接議論を行うことが有効であり、そのためにブルターニュ大学に滞在する。 また、三次元電気伝導度構造と三次元地震波速度構造の組み合わせから、上部マントルの温度構造や含水量などを推定する手法の開発に取り掛かる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ブルターニュ大学での滞在費、学会発表、および、論文投稿の経費を計上する。ソサエティー・ホットスポットの研究は、ブルターニュ大学の研究者と共同で行っている。彼らのデータを統合して解析し、研究成果を投稿論文として効率的にまとめるために、ブルターニュ大学に滞在する必要がある。
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Research Products
(8 results)