2012 Fiscal Year Research-status Report
現在の応力状態を用いた新たな活断層リスク評価手法の開発
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23740347
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Research Institution | Hot Springs Research Institute of Kanagawa Prefecture |
Principal Investigator |
行竹 洋平 神奈川県温泉地学研究所, その他部局等, 研究員 (20435853)
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Keywords | 地殻応力 / 活断層 / メカニズム解 |
Research Abstract |
平成23年度において決定された地震のメカニズム解をもとに、日本内陸域における列島スケールの応力場を推定した。平成24年度は新たに地震データを追加し、メカニズム解の追加決定を行った。その結果、日本内陸域において、平成23年度に決定されたデータと併せて、約8000個の地震のメカニズム解データを得ることができた。これらのメカニズム解の節面方向の誤差は平均で4度であり、非常に高品質なデータが取得できた。日本内陸域における詳細な応力場を推定するために、多数の地震のメカニズム解を高精度に決定できたのは意義深いと言える。上記のメカニズム解データをもとに、応力インバージョン法を用いて日本内陸域の広域応力場の空間分布を推定した。この研究では、Hardebeck and Michael (2006)によって開発された、Damped Inversion法を用いた。日本内陸域に0.1度間隔のグリットを設け、グリット内に8個のメカニズム解データがある領域に対して応力場の推定を行った。応力場の分布の特徴は、東日本では逆断層型、西南日本では横ずれ型が卓越しているものであった。正断層型の応力場については、例えば九州地方の別府から島原にかけての領域で卓越して分布している。こうした応力場の空間分布の特徴は、Townend and Zoback (2006)やTerakawa and Matsu'ura (2010)の先行研究によって得られた結果と整合する。内陸域においての広域応力場が詳細に得られたことは、今後活断層に作用する応力状態を評価する上で重要な結果となる。さらに、産業技術総合研究所活断層データベースから、活断層(約520本の活動セグメント)の位置・走向・傾斜・活動度などに関する情報を取得し整理した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究計画として、日本内陸域における応力場空間分布の推定、活断層の情報の整理を掲げており、当年度ではそれらの研究について概ねの処理が達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に決定された日本内陸域の列島スケールの応力場の空間分布および活断層の情報をもとに、その応力場のもとでの活断層の「動き易さ(Slip tendency)」を求める。活断層のSlip tendencyとは、断層上に作用する法線応力の大きさに対するせん断応力の比のことである。この値が大きくなればその断層は動きやすいということになる。この解析を活断層周辺の応力情報を用いて行い、Slip tendencyとその活断層の活動度(平均変位速度)などの情報と比較するともに、活断層の評価をSlip tendencyの大きさを用いて行う。また、近年発生した内陸域のM7級の大地震についてもSlip tendencyをもとめて、手法の妥当性の最終評価を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は本研究で得られた成果を国内外の学会に周知させ、有意義な議論につなげるため、地球惑星科学連合2013大会、AGU Fall Meetingへの出席のための旅費に使用する。
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