2013 Fiscal Year Annual Research Report
現在の応力状態を用いた新たな活断層リスク評価手法の開発
Project/Area Number |
23740347
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Research Institution | Hot Springs Research Institute of Kanagawa Prefecture |
Principal Investigator |
行竹 洋平 神奈川県温泉地学研究所, その他部局等, 研究員 (20435853)
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Keywords | 活断層 / 地殻応力 / slip tendency |
Research Abstract |
日本内陸域の活断層周辺の詳細な応力情報を得るために、内陸域の深さ30kmより浅い場所で発生した地震の発震機構解(メカニズム解)を高精度に決定することを行い、日本内陸域において約8000イベントの地震の発震機構解を高精度に得ることができた。これらのメカニズム解データから応力逆解析法を用いて、日本列島スケールでの広域応力場の空間分布を推定した。活断層の情報については産業技術総合研究所活断層データベースから取得した。最終年度では、これらの応力情報と活断層情報から、活断層のSlip tendencyを求めた。Slip tendencyは、断層上に作用する法線応力の大きさに対するせん断応力の比として求められ、大きなSlip tendencyの活断層は広域応力場のもとで動き易い方向にあることを意味する。日本内陸域における292本の活断層のSlip tendencyを求めることができた。このうち92%がSlip tendencyの値が0.5以上あり、活断層は広域応力場に対して動き易い方向に形成されていることが分かった。これらの活断層は多様な活動ステージ(最新の地震からの経過時間)にあるため、Slip tendencyの値は各活断層の活動ステージに応じて変化するものではなく時間的に安定しているということを示唆する。これらの結果から、Slip tendencyを断層の危険度の指標として活用することは困難であることが示された一方で、過去の活動履歴が不明な地質断層や伏在断層の活動度の評価するにあたり有益な情報となることも分かった。また、兵庫県南部地震の震源断層についてはSlip tendencyの値が0.6程度であり相対的に低いことが明らかになった。この結果は高圧の地殻流体などによりSlip tendencyの値が1.0に近くなくても大地震が発生しうることを示唆する。
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