2012 Fiscal Year Research-status Report
光学・電波観測を組み合わせた大気重力波の鉛直伝搬過程の解明
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23740368
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
鈴木 臣 名古屋大学, 高等研究院, 特任助教 (60397479)
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Keywords | 国際協同研究・ドイツ |
Research Abstract |
昨年度末にドイツ Leibniz-Institute of Atmospheric Physics(以下 IAP) 敷地内に設置した大気光イメージャの自動観測を引き続き行った.2012年6月にカメラの冷却装置が故障したが,一時的に別のカメラを流用することでほぼ一年間を通した連続観測を実現した(2013年1月に修理済みのカメラを再び取り付けて運用を再会している).数晩のデータについては IAP によって運用されているライダー装置との同時観測に成功している.あわせて,大気光画像データのクイックルック(web 上にて公開)について,557.7-nm, OH band, ナトリウムの3波長のデータを準リアルタイムで公開できる体制を整えた. また,ノルウェーで実施した大気光イメージャとライダーによる大気重力波の同時観測データから,上部成層圏から中間圏界面に渡る大気重力波の鉛直伝搬構造を初めて観測的に明らかにした.3次元レイトレーシングモデルを構築し,得られた観測値と客観解析データから,観測された大気重力波の起源が約2600km離れた場所の対流圏界面における極渦の蛇行であることを示した.この結果は,下層大気起源の大気重力波は上空では広い緯度帯の大気ダイナミクスに寄与する可能性を示唆しており,大気の緯度・経度間結合の理解に向けた観測をさらに展開する必要があることを示している.得られた成果は,国内外の学会・研究会で報告するとともに,成果をまとめた論文は欧州の地球科学雑誌に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ドイツに設置した大気光イメージャは(一時的なトラブルがあったものの)順調に稼働しており,多くのデータを取得することができた.現地のライダーとの大気重力波の同時観測も成功しており,大気波動の鉛直伝搬過程のさらなる解明に向けた解析環境の構築もほぼ計画通りに進んでいる.また本研究のこれまでの成果を多くの国内外の学会で報告し,学術論文としてまとめることもできた.
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Strategy for Future Research Activity |
ドイツに設置した大気光イメージャと現地のライダーによる大気重力波の同時観測キャンペーンを精力的に進めていく.ヨーロッパ経度帯における中間圏大気重力波活動は,これまで観測の少なさからよく分かっていない.このことが地球大気循環への大気波動の寄与の定量的理解の妨げにもなっている.本年度に取得したデータから,この緯度帯における重力波活動の統計的な描像を得る.また,高緯度ノルウェーでの観測から,極渦から波動が超高層に至る鉛直伝搬過程について議論したが,高緯度と中緯度の遷移帯に位置するドイツでの観測データから,どれくらいの極渦起源の大気波動が中緯度中間圏に,どのように伝搬しているのかを統計的に調査する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
最終年度となる次年度は,これまでに得られた観測データのデータベースの作成と統計的な解析を行う.大量のデータを効率よく解析するために画像処理を高速に行なうことができる計算機を購入する.同時観測のさらなる実施や装置の撤収のため研究代表者が日本とドイツを複数回往復する.また研究成果の報告のために,論文掲載費と国内・国外で開催される学会への参加費を請求する.
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Research Products
(15 results)
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[Presentation] Combined measurements of gravity waves with an airglow imager and ALOMAR lidars in Norway
Author(s)
Suzuki, S., F.-J. Luebken, G. Baumgarten, U. Berger, N. Kaifler, P. Hoffmann, R. Eixmann, B. P. Williams, and T. Nakamura
Organizer
The 3rd International Symposium on the Arctic Research (ISAR-3)
Place of Presentation
Tokyo, Japan
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