2012 Fiscal Year Annual Research Report
中期古生代の放散虫絶滅事変:種群交代と環境要因から探るプランクトン生態系の変革
Project/Area Number |
23740376
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
栗原 敏之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10447617)
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Keywords | 放散虫 / プランクトン / 中期古生代 / デボン紀 / 大量絶滅 / 堆積岩化学組成 / 黒瀬川帯 / モンゴル |
Research Abstract |
本研究では,前期デボン紀の大量絶滅を伴った放散虫の変遷過程を明らかにすることを目的として,日本とモンゴルの珪質岩を対象に群集組成の変化と時間スケール,環境要因を検討した. 平成24年度は,黒瀬川帯鴻ノ森地域の下部デボン系において放散虫化石の層序分布を検討し,次の結果を得た.すなわち,本セクション下位では後期シルル紀から繁栄していた大型球状放散虫(Inaniguttidae科)が卓越するが,より上位の層準になると属種不明の球状放散虫が増加し,最上位では骨針状放散虫(Palaeoscenidiidae科)に占有される.なお,本セクションからはジルコンU-Pb年代(約408 Ma)が報告されており,絶滅イベントの年代を推定する上で重要である.平成23年度に検討した黒瀬川帯中畑層とモンゴルのチャート層の結果と総合すると,Inaniguttidae科の絶滅時には生存期間の短い日和見種(属種不明の球状放散虫,Palaeoscenidiidae科)が現れ,その後に中期デボン紀以降繁栄するEntactiniidae科が主体となる群集に移行していくことが明らかになった. 本年度はモンゴルのチャート・細粒砕屑岩(71試料)の主要・微量元素濃度の測定を行った.特に放散虫の絶滅層準付近のチャートについて酸化還元環境の指標となる微量元素(V,Cr)の挙動に注目したが,環境変動を示す有意なデータは得られなかった.ただし,MnやNiの濃度が高い層準が見いだされており,この時期にチャートが堆積していた海洋プレート内で起こったプリューム性の火成活動(Tsukada et al., in press)との関連が示唆される.すなわち,前期デボン紀における放散虫の絶滅は,白亜紀OAEの発生機構と似た,大規模火成活動に伴う環境変動と因果関係がある可能性がある.
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Geological setting of the basaltic rocks in an accretionary complex, Khangai-Khentei belt, Mongolia2013
Author(s)
Tsukada, K., Nakane, Y., Yamamoto, K., Kurihara, T., Otoh, S., Kashiwagi, K., Minjin, C., Sersmaa G., Manchuk, N. Niwa, M., Tokiwa
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Journal Title
Island Arc
Volume: 22
Pages: 227-241
DOI
Peer Reviewed
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