2011 Fiscal Year Research-status Report
琉球サンゴの化学組成に基づいた産業革命以後の海洋pHの長期変動復元
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23740385
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
浅海 竜司 琉球大学, 亜熱帯島嶼科学超域研究推進機構, 特命助教 (00400242)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | サンゴ / 年輪 / 化学組成 / 同位体組成 / 古海洋 / 気候変動 / 温暖化 / 海洋酸性化 |
Research Abstract |
近年,人間活動に起因する「地球温暖化」と「海洋酸性化」の問題が指摘されているものの,過去~現在における海洋の温暖化と酸性化の長期傾向を定量的に把握できる長期の気象観測データは限られる.この長期データの欠損を補完する有用なアーカイブとして造礁サンゴ群体(ハマサンゴPorites sp.:以下サンゴと称す)が挙げられる.本研究では,琉球列島に生息する大型のサンゴ骨格年輪のコア試料について,その各種化学組成・同位体組成(ホウ素同位体組成,酸素同位体組成,ストロンチウム/カルシウム比,ウラン/カルシウム比など)を年単位の高時間解像度で分析し,表層海水の温度,塩分,pHなどの長期時系列データを復元することを目的としている.本年度は,現地における定期的な海域・陸域調査,測器観測,環境水のサンプリングを実施し,サンゴ生息域周辺の詳細な環境変化を把握した.また,サンゴ骨格年輪のコアサンプルの掘削と切断・整形を実施した.その結果,本コア試料には明瞭なハイエイタスが認められず,骨格年輪が連続的に形成されていることが明らかとなった.また,環境水や比較検証のために用いたサンゴ骨格年輪のコアサンプルの各種化学分析を実施し,得られた結果や解析データについて議論を行って,その成果を学会等で発表した.さらに,ホウ素同位体組成分析のための効率的な前処理作業環境を整備するとともに,本年度下半期に琉球大学に導入されたレーザーアブレーション・誘導結合プラズマ分析機器システム(MC-ICP-MS,ICP-MS,ICP-AES)ならびに炭酸塩・水分析用安定同位体質量分析装置のセットアップを開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は,当初の平成23年度研究実施計画どおりに進められた.具体的には,1)定期的な現地調査ならびにサンゴ生息域周辺における環境水(海水,陸水,降水など)のサンプリング,2)測器センサーを用いたサンゴ生息環境の連続観測,3)対象とするサンゴ群体の選定と複数のサンゴ骨格年輪のコアサンプルの掘削,4)サンゴ骨格年輪コアサンプルの切断と等厚平板スラブ試料の整形,5)環境水の各種化学分析,6)比較検証のために用いたサンゴ骨格年輪コアサンプルの各種化学分析,7)本年度下半期に琉球大学に導入されたレーザーアブレーション・誘導結合プラズマ分析機器類(MC-ICP-MS,ICP-MS,ICP-AES)ならびに炭酸塩・水分析用安定同位体質量分析装置の立ち上げ,8)ホウ素同位体組成分析の前処理作業の効率化とその環境整備,9)得られた結果や解析データについての議論と成果発表を行った.諸事情により,本年度は軟X線撮影装置の利用の都合がつかなかったため,採取したコアサンプルの詳細な骨格年輪解析が実施できなかったものの,本研究は概ね順調に遂行されていると判断される.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に平成24年度研究実施計画どおり進めていく予定である.まず,詳細な骨格年輪の解析を行うため,平成24年度上半期中にサンゴコアサンプルの軟X線撮影を実施する.また,多数のサンゴサンプルを処理して化学分析を推進する必要があるため,各種化学組成・同位体組成(ホウ素同位体組成,酸素同位体組成,ストロンチウム/カルシウム比,ウラン/カルシウム比など)分析の環境整備を引き続き行うとともに,測定ルーチンを最適化する.随時,得られた結果を解析し,成果を学術雑誌に投稿するとともに国内外の学会で発表する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き実施している野外調査(環境観測,センサーメインテナンス,環境水サンプリングなど)を遂行するため,旅費ならびに調査に関わる諸費用(現場海域までの海上移動費,水中調査のためのエアタンク費,器材運搬費,調査用具消耗品など)を使用する予定である.また,軟X線撮影装置の利用のために,旅費ならびに現像関係の消耗品費を使用する予定である.各種化学組成・同位体組成分析に最低限必要な費用(薬品類やガス類など)を使用する予定である.グラフィック解析やデータ解析のために必要なPC,研究成果を国内外の学会で発表するための旅費や学会投稿料,学術論文別吊り費を使用する予定である.
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[Presentation] Pronounced interannual variability in tropical South Pacific temperatures during Heinrich stadial 12011
Author(s)
T. Felis, U. Merkel, Ryuji ASAMI, P. Deschamps, E. C. Hathorne, M. Kolling, E. Bard, G. Cabioch, N. Durand, M. Prange, M. Schulz, S. Y. Cahyarini, and M. Pfeiffer
Organizer
European Geophysical Union Assembly
Place of Presentation
Vienna, Austria
Year and Date
Apr 5, 2011
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