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2011 Fiscal Year Research-status Report

地球表層環境における鉱物表面/水/有機物界面の構造解析

Research Project

Project/Area Number 23740390
Research InstitutionTokyo Institute of Technology

Principal Investigator

佐久間 博  東京工業大学, 理工学研究科, 特任助教 (20400426)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords石油の回収率 / 水 / 固液界面 / X線CTR散乱 / 分子動力学計算 / 第一原理計算 / 収着 / カルサイト
Research Abstract

本研究は、X線CTR散乱実験と第一原理電子状態・古典分子動力学計算を組み合わせて、鉱物表面/水溶液/炭化水素分子界面の構造を0.1 nm以下の分解能で決定し、鉱物表面近傍におけるイオン・有機分子の収着形態、および構造とダイナミクスの関係を理解することを目的としている。鉱物表面近傍における水・イオン・有機分子の収着形態の解明は、毒性元素の回収・石油の回収率向上・新規有機/無機複合体の材料設計など多くの研究分野で重要である。 高エネルギー加速器研究機構で行う予定だったX線CTR散乱実験が、東日本大震災の影響で前期の期間実施することができなかった。そこで、前期は解析プログラムの作成、文献調査等を行った。後期には、より現実の環境に近い白雲母/2成分塩水溶液(NaCl, CaCl2)界面のX線CTR散乱実験を行い、予備的ではあるが、興味深い結果が出つつある。今年度は震災の影響もあり、特に分子シミュレーションに集中した研究を行った。これまで低コスト・低環境負荷で如何に石油の回収率を向上させるかについて研究が盛んに行われている。最近ノルウェーの研究グループは、主要な貯留岩の一つであるチョーク(未固結の石灰岩)に人工海水を注入することで、石油の回収率を60%まで上昇させることができることを発見した(Zhang et al., 2007, Colloid Surf. A, 301, 199-208)。しかし、そのメカニズムは未解明である。そこでチョークの主要構成鉱物であるカルサイト表面の親水性・親油性が人工海水の影響でどのように変化するかについて第一原理電子状態計算で調べた。 研究成果はコペンハーゲン大学との共同研究であり、デンマークで現在特許出願準備中であるため、まだ詳細を述べることができないが、人工海水中のイオンがカルサイト表面の性質(親水性・親油性)を変化させることがわかってきた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究はX線CTR散乱法による実験と分子シミュレーションの2つの手法から研究目的の達成を目指している。 X線CTR散乱測定の平成23年度の研究計画は、東日本大震災の影響で高エネルギー加速器研究機構(KEK)のビームラインが前期の間使用できないことから、解析プログラムの作成・文献調査・新しい試料セルの作製を行うこととし、実験が可能な状況になり次第、白雲母/塩水溶液界面の構造解析を行うこととした。また平成24年度以降のビームタイムの申請をすることが重要な目的であった。これらの研究目的に対して、おおむね順調に進展している。まず解析プログラムについては改良を加え、使い勝手の向上に努めた。新しい試料セルについては、温度制御(室温~100℃)セルを作製することにし、現在設計を検討中である。白雲母/塩水溶液界面の構造解析は、地下環境下で最も現実的な2成分塩水溶液(NaCl, CaCl2)をターゲットとした測定を2月に実施し、興味深い結果が出つつある。また平成24~25年度のビームタイムを確保することもできた。 分子シミュレーションについては、カルサイトの表面の性質(親水性・親油性)を第一原理計算から検討することに成功し、研究計画以上に進展している。本研究は、コペンハーゲン大学ナノサイエンスセンターのStipp教授とAndersson助教との共同研究であり、研究結果は現在特許出願準備中である。

Strategy for Future Research Activity

次年度から2年間高エネルギー加速器研究機構(KEK)でX線CTR散乱実験を行うため、G型課題をKEKに申請し、採択された。次年度以降、これまで震災の影響で研究がやや遅れているX線CTR散乱実験を効率的に行う。まずは白雲母/2成分塩水溶液界面の構造解析を行い、現実の地下環境に近い条件での塩水溶液中のイオンの吸着形態について検討を行う。さらに石油の回収率向上で特に重要なカルサイト/塩水溶液界面のX線CTR散乱実験を開始する。今年度の第一原理電子状態計算の結果と比較するため、温度を制御(室温~100℃)しながらカルサイト表面のX線CTR散乱実験を行う必要がある。そこで試料セルの改良を次年度の前期に行う。 分子シミュレーションはより現実の環境条件に近い、2種の塩(例えばNaClとCaCl2)を含む水溶液/雲母界面や海水、石油/カルサイト界面を対象とする。鉱物表面の親水性・親油性の研究は第一原理電子状態計算で実施し、鉱物/2成分塩水溶液等の電気二重層やイオンの収着の研究には古典分子動力学計算を実施する。 X線CTR散乱実験と分子シミュレーションを同時並行で行うことで、効率的かつ信頼性の高い固液界面の構造解析を行う。またコペンハーゲン大学のStipp教授の研究グループと共同研究を行うことで、X線CTR散乱実験以外の実験(例えばXPSやAFM)との比較も行いながら、研究を推進する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

今年度の執行額に残額が生じた状況:震災の影響で、KEKでのX線CTR散乱実験を前期に行うことができず、試料セルの作製について十分な検討が行えなかった。そこで試料セルの作製費用を次年度に繰り越し、次年度に試料セルを作製することにした。また、今年度末に新しいCPUがリリースされたことを受けて、今年度の経費の一部を平成24年度に繰り越すことにし、平成24年度にこのCPUを搭載したワークステーションを購入することにした。 物品:平成24年度にワークステーション1台の導入を予定している。新しいCPUを搭載したワークステーションを使用することで、効率的に分子シミュレーションを実施する。X線CTR散乱実験用の試料セルを改良するため、温度制御用の部品等を購入する。また消耗品として鉱物試料(雲母・カルサイト等)、石英ディスク、その他実験用消耗品等を購入する予定である。 旅費:次年度は1回の国際会議の参加、数回の国内学会の参加を予定している。また、研究を効率的に推進するため、各分野の専門家との研究打ち合わせを2回程度予定している。 謝金:謝金を使用する予定はない。 その他:論文の別刷代を予定している。

  • Research Products

    (6 results)

All 2012 2011

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 4 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Potential Energy Surface of 4-hexyl-4’-cyanobiphenyl (6CB) on Graphite Surface: A DFT Study with van der Waals Corrections2012

    • Author(s)
      H. Sakuma
    • Journal Title

      Molecular Simulation

      Volume: 38 Pages: 425-431

    • DOI

      10.1080/08927022.2011.557833

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Structure of Hydrated Sodium Ions and Water Molecules Adsorbed on the Mica/Water Interface2011

    • Author(s)
      H. Sakuma, T. Kondo, H. Nakao, K. Shiraki, K. Kawamura
    • Journal Title

      Journal of Physical Chemistry C

      Volume: 115 Pages: 15959-15964

    • DOI

      10.1021/jp111936s

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] A New Source of Water in Seismogenic Subduction Zones2011

    • Author(s)
      J. Kameda, A. Yamaguchi, S. Saito, H. Sakuma, K. Kawamura, G. Kimura
    • Journal Title

      Geophysical Research Letters

      Volume: 38 Pages: L22306

    • DOI

      10.1029/2011GL048883

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Fluorescent Dye Probe for Monitoring Local Viscosity of Confined Liquids2011

    • Author(s)
      D. Fukushi, M. Kasuya, H. Sakuma, K. Kurihara
    • Journal Title

      Chemistry Letters

      Volume: 40 Pages: 776-778

    • DOI

      10.1246/cl.2011.776

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] A Mechanism and Stability of Water Lubrication Between Mineral Surfaces2012

    • Author(s)
      H. Sakuma, K. Kawamura
    • Organizer
      Joint Symposium of Misasa-2012 and Geofluid-2(招待講演)
    • Place of Presentation
      鳥取県三朝町ブランナールみささ
    • Year and Date
      2012年3月20日
  • [Presentation] 鉱物表面近傍の水・水溶液の構造と物性:実験と電子状態および分子シミュレーション計算2011

    • Author(s)
      佐久間 博
    • Organizer
      2011年第2回水科学研究会(招待講演)
    • Place of Presentation
      東京海洋大学
    • Year and Date
      2011年5月7日

URL: 

Published: 2013-07-10  

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