2013 Fiscal Year Annual Research Report
地球表層環境における鉱物表面/水/有機物界面の構造解析
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23740390
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐久間 博 独立行政法人物質・材料研究機構, 環境再生材料ユニット, 主任研究員 (20400426)
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Keywords | 石油の回収率 / 水和 / 固液界面 / X線CTR散乱 / 分子動力学計算 / 第一原理計算 / 吸着 / カルサイト |
Research Abstract |
本研究は、X線CTR散乱実験と第一原理電子状態・古典分子動力学計算を組み合わせて、鉱物表面/水溶液/炭化水素分子界面の構造を0.1 nm以下の分解能で決定し、鉱物表面近傍におけるイオン・有機分子の収着形態、および構造とダイナミクスの関係を理解することを目的としている。鉱物表面近傍における水・イオン・有機分子の収着形態の解明は、毒性元素の回収・石油の回収率向上・新規有機/無機複合体の材料設計など多くの研究分野で重要である。 研究手法は、(1) 高エネルギー加速器研究機構(KEK)およびイギリスの放射光施設DIAMONDで行う表面X線CTR散乱実験と、(2)分子シミュレーションの2つを用いた。 本年度の主要な成果として、研究手法ごとに説明する。(1)室温と80℃までの高温条件下における人工海水/カルサイト(CaCO3)界面の構造解析を継続して実施した。特に、本年度は溶液の蒸発を防ぐ試料セルの開発に取り組み、高温での測定の信頼性を徐々に向上させた。結果として、MgSO4を溶解させた人工海水と接したカルサイトの表面は70℃以上の高温で、常温とは異なる電子構造を取ることがわかってきた。これは、MgSO4イオンが高温で表面に吸着している可能性を示唆している。 (2)第一原理電子状態計算から、カルサイトの(104)面のCa-CO3イオンペアをMg-SO4イオンペアに置換すると、表面がより親水性となることがわかった。この成果はJ. Chem. Phys. C誌に報告した。この結果は、MgSO4を溶解した人工海水と石油の貯留岩が接することで、石油の貯留岩の主要鉱物であるカルサイトの表面に吸着した石油分子が、脱離しやすくなることを示唆する。
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Research Products
(9 results)