2011 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ揺らぎとナノ界面特性揺らぎの相互作用ダイナミックス
Project/Area Number |
23740408
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鎌滝 晋礼 九州大学, 基幹教育院, 助教 (60582658)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | プラズマ / ナノ界面 / ナノ粒子成長 / 相互作用 / 揺らぎ / ナノ粒子サイズの二次元分布 / ナノ粒子密度の二次元分布 / ナノ粒子のサイズ分布 |
Research Abstract |
本研究は、「プラズマ揺らぎとナノ界面特性揺らぎの相互作用ダイナミックス」の解明を目的に、研究を推進してきた。今日のプラズマを用いたナノテクノロジーの世界的進展によりULSI、高密度メモリー、MPU、バイオセンサーやソーラーセル等のナノサイズデバイス創成が可能である。しかし、それらのナノデバイスの微細化の進展に伴い、プラズマの揺らぎとナノ界面の特性の揺らぎ(ばらつき)が重大な問題となっている。サブナノメータ(1nm以下)領域の微細加工寸法の揺らぎはプラズマ揺らぎとナノ界面の相互作用長(またはそれ以下)で決定されているので、従来方法の入射電力やガス流等のパラメタ調整では制御困難であった。そこで本研究は、プラズマ気相中に揺らぎを外部から印加し、制御することで、プラズマ揺らぎの効果を体系的に明らかにした。具体的には、プラズマ揺らぎが大きくなることで、プラズマ気相中に生成されるナノ粒子のサイズは小さく、そして大量に合成されることを明らかにした。そして、そのメカニズムも、プラズマ気相中のナノ粒子の密度とサイズの二次元分布とナノ粒子のサイズ分布を明らかにする新たな計測解析手法を確立することで、明らかにした(13. 研究発表の[雑誌論文]参照)。 まず、プラズマ揺らぎの効果とそのメカニズムを解明したことは、今後のプラズマプロセステクノロジーの発展に十分影響を与えることであり、その内容が評価され、招待講演を行っている(13. 研究発表の[学会発表]参照)。更に、プラズマ気相中の生成されたナノ粒子の二次元分布をin-situ計測で明らかにしたのは世界初であり、本研究で確立したこの計測解析手法は、プラズマプロセス研究において、従来手法に比べ、極めて短い時間でナノ粒子のサイズ分布等を明らかにできるため、プラズマプロセスの研究効率を高める強力なツールとして、既に国内外の研究者から関心を持たれている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在までの本研究の達成度は、当初の計画以上に進展している。本研究は、1) プラズマ揺らぎと気相中ナノ粒子特性の相互作用、2)プラズマ揺らぎと固相中ナノ粒子特性の相互作用、3)プラズマ揺らぎと気相-固相間ナノ粒子輸送の相互作用、の定量的評価とダイナミックスの解明を目的としており、平成23年度は、1) プラズマ揺らぎと気相中ナノ粒子特性の相互作用を解明することであった。研究実績の概要で述べたように1)プラズマ揺らぎと気相中ナノ粒子特性の相互作用のダイナミックスを解明するだけなく、更に、プラズマ気相中の生成されたナノ粒子のサイズと密度の二次元分布を明らかにする新たな計測解析手法を確立している。よって、本研究は、当初の計画以上に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究目的は、2)プラズマ揺らぎと固相中ナノ粒子特性の相互作用、3)プラズマ揺らぎと気相-固相間ナノ粒子輸送の相互作用、の定量的評価とダイナミックスの解明である。2) プラズマ揺らぎと固相中ナノ粒子特性の相互作用の定量的評価の推進方策について固相中ナノ粒子特性は以下の項目を評価する。カッコ内は計測装置・方法を示す。(1)膜の表面粗さ(AFM)、(2)膜の組成(X線分析)、(3)ナノ粒子のサイズ(TEM,EDX)、(4)空孔率(電子顕微鏡)、(5)膜の付着力(スコッチテープ)、(6)比誘電率(短波長エリプソメトリ)、(7)機械的強度(AFM)である。計測方法も既に確立済であり、計測における大きな障害はない。これによりプラズマ揺らぎと固相中ナノ粒子特性の相関関係を解明する。プラズマ揺らぎのみの効果を明らかにするために、多変数の相関を取る偏相関係数も使用する。3) プラズマ揺らぎと気相-固相間ナノ粒子輸送の相互作用の定量的評価とダイナミックスの解明の推進方策について上記項目解明の為、レーザー散乱法を用いて行う。放電OFF後のナノ粒子量の2次元ダイナミックスを高速度カメラで計測し、凝集、輸送過程の経時変化から揺動解析を用いて、プラズマ揺らぎとシース長、ナノ粒子空間的均一性、フラックス等の相関関係を導く。従来、ナノ粒子の輸送は、熱泳動力、静電気力、ガス流、イオン流によって決まるとされてきたが、ここにプラズマの揺らぎがどのくらい影響しているかの評価も行う。上記項目2)3)において、結果をまとめ、論文を執筆し、研究成果発表を国内外の会議にて行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今後の研究の推進方策においても述べたが、次年度は、プラズマ揺らぎと固相中ナノ粒子特性の相互作用とプラズマ揺らぎと気相-固相間ナノ粒子輸送の相互作用の定量評価を行う必要がある。また、次年度の直接経費は、60万円、間接経費は18万円である。固相中なナノ粒子特性の計測には、多くの計測用の備品が必要である。また、ナノ粒子輸送の相互作用の定量評価には、本年度購入のフォトロン製の高速度カメラを使用する。また、研究発表の為の旅費が必要である。 よって、次年度は、研究推進の為の計測用備品と成果発表の為の旅費を予算の大半として計上する。
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