2011 Fiscal Year Research-status Report
テイラーコーンを利用した大気圧コロナ放電の生成とプラズマリアクタへの応用
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23740409
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
白井 直機 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (80552281)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | テイラーコーン / 大気圧プラズマ / コロナ放電 / 液体電極 |
Research Abstract |
本年度は、大気圧空気中でテイラーコーンが形成される条件と、その際にコーン先端で形成されるコロナ放電の特性を実験的に調査した。精製水にNaCl、界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、粘性を高めるPVA等を加えることで導電率、表面張力、粘性を調整し、様々な条件の液体での生成条件を明らかにした。テイラーコーンの生成には、表面張力が重要なパラーメータであり、水のみでは安定にコーンは生成されない。しかし、界面活性剤を添加することにより、液体の表面張力は低下し、安定にコーンが生成される。またテイラーコーンは液体に正の電圧、負の電圧どちらを印加した際にも形成されるが、コロナ放電は負の電圧を印加した時の方が観測されやすい。放電の様子を金属の針電極を用いた場合と比較すると、金属電極を用いた場合には、規則正しい周期で微小なパルス電流を生じるトリチェリパルスが見られるのに対して、テイラーコーンを用いた場合には不規則なパルス列となった電流が現れる。これはテイラーコーンが液体であるために、その先端で液体の放出により形状が変化しているためと推定され、その様子は高速度ビデオカメラによる観測でも確認された。粘性の高い液体としてポリビニルアルコール水溶液(PVA)を用いるとエレクトロスピニングで見られるような細い液体のフィラメントがコーンの先端から生じ、そのフィラメントの途中でコロナ放電が観測されるという特異な現象が見られた。また、フィラメントの数や動きは印加電圧により変化することが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テイラーコーンによるコロナ放電の生成の基礎的な検討については、概ね計画通り研究を進められている。また、粘性の高い液体を用いた場合には、エレクトロスピニング法と併せた新たな材料プロセスへの可能性も見出された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、さらなる基礎特性の解明に加えて、新たなプラズマリアクタとしての応用の可能性を探るために、ナノ粒子・ナノ繊維生成とその評価について検討し、さらに放電部の大容量化について検討する。コロナ放電について、ICCDカメラを用いて撮影することで、その放電進展過程を明らかにする。また、分光器に高速度カメラを取り付けることで、発光の時間変化についても調査し、計算スペクトルとの適合により放電部の温度変化についても明らかにする。光学系の構築を行い、放電部の発光分布を調べる。また、発光スペクトル中の窒素第二正帯の発光を利用して、計算スペクトルと実測スペクトルの適合により、放電部の回転温度・振動温度を推定し、それらの値がテイラーコーンの有無、状態によってどのように変化するかを調査する。ナノ粒子、ナノ繊維の評価を行う際には、ナノ粒子生成には溶液に硝酸銀水溶液を混入して実験を行い、得られる銀粒子をTEMを用いて評価する。ナノ繊維にはPVA溶液によってエレクトロスピニング法同様に対抗電極に繊維が付着するのでコロナ放電の有無のより表面状態をSEMで観測する。尚、観測には本学設置のSEM・TEM装置を用いる。放電部の大容量化のために、電極部を並列にした際の駆動について検討する。直流駆動に加えて、一般的な並列動作に用いられるパルス駆動で、それぞれ検討する。ナノ粒子、ナノ繊維生成についても検討し、単一駆動と並列駆動での違いについても検討する。また、2か年で得られたデータをもとに、テイラーコーンを用いたコロナ放電についての基礎特性ならびにナノ材料プロセスの可能性を明らかにし、成果を投稿論文として発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は、液体のパラメータのより定量的な評価のために、表面張力、粘度等の計測が可能な計器を導入して、研究を進める。また、得られた成果を国内外へ発表するための、旅費、論文投稿等へ活用する。
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Research Products
(1 results)