2012 Fiscal Year Annual Research Report
テイラーコーンを利用した大気圧コロナ放電の生成とプラズマリアクタへの応用
Project/Area Number |
23740409
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
白井 直機 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (80552281)
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Keywords | 大気圧プラズマ / 液体電極 / テイラーコーン / コロナ放電 |
Research Abstract |
高電界下で微小サイズの液体がテイラーコーンと呼ばれる円錐形状に変形することに着目し、テイラーコーンを電極とした新たな大気圧プラズマリアクタの可能性について検討した。本研究では安定なテイラーコーン生成条件を明らかにし、コーン先端に形成されるコロナ放電の基礎特性を調査し、応用の可能性について検証した。 水を電極材料としてテイラーコーンを形成しようとすると、水の高い表面張力のために安定に鋭いコーンを形成することができない。そこで、液体の表面張力を低下させるために界面活性剤であるドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を用いた。SDS溶液を用いることにより大気圧空気中で安定にテイラーコーンを形成し、その先端でコロナ放電を生成させることができる。コロナ放電は液体に負の電圧を印加した負コロナの方が発光が強く、正コロナの発光はほとんど確認できない。放電生成時には電流波形がパルス状のトリチェリパルスと類似した形状となるが、液体の場合にはパルスの振幅、周期が徐々に増加する特有のパルス群が周期的に現れる波形となる。これはテイラーコーンの先端が放電や液体の放出により変形することに起因するもので、液体電極を用いた特有の現象であることを明らかにした。 また粘性の高いポリビニルアルコール溶液(PVA)溶液を用いてテイラーコーンを形成するとエレクトロスピニングにみられるような液体のフィラメントが対向電極に向かって伸びていきコロナ放電がフィラメントの途中で形成される。コロナ放電はフィラメントが最も細くなった部分で形成され、印加電圧により放電の位置が変化することを確認した。また印加電圧によりフィラメントも複数に分裂したり、回転することを確認し、それに伴い様々な放電形態が現れることを明らかにした。これらの特性を基に液体に様々な材料を含有することで新たな材料プロセスに用いることができる可能性を見出した。
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