2014 Fiscal Year Research-status Report
連結階層シミュレーションモデルで拓く核融合プラズマ研究の新展開
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23740411
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
長谷川 裕記 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 助教 (60390639)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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Keywords | プラズマ・核融合 / 計算物理 / ハイパフォーマンス・コンピューティング / 磁気圏・電離圏 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題では、核融合プラズマをはじめとする様々なプラズマにおいて生起する多階層複雑現象に関して、連結階層アルゴリズムなどに基づくシミュレーションコードを開発し、それによる自己無撞着なシミュレーションを実行し、いままで解明されてこなかったその挙動、特に、微視的階層の物理が巨視的な挙動におよぼす影響など、階層間の相互作用やそれによる動的ダイナミクスについて、新たな知見を得ることを目指している。平成26年度は、そのようなプラズマ現象のなかでも、核融合磁場閉じ込めプラズマ装置周辺部などで見られるプラズマコヒーレント構造(プラズマブロブ)に主に焦点を当て、その多階層シミュレーションを実現させるために必要な知見を得るために、微視的な物理の観点から、3次元静電粒子シミュレーションコードを用いて、ブロブダイナミクスについての研究を進めた。前年度までの研究では、背景磁場の勾配が、磁力線方向(トロイダル方向)、及び、磁力線と磁場勾配方向に垂直な方向(ポロイダル方向)について一様な場合に関して、計算をおこなってきたが、本年度は、トカマク配位のように、磁場勾配が磁力線方向に非一様な磁場(low-field側とhigh-field側で勾配の向きが逆)を設定して、そのような背景磁場におけるブロブ伝播の微視的ダイナミクスについて調べた。その結果、low-field側とhigh-field側の磁場強度が同じ場合(アスペクト比の大きいトカマクに対応)には、ほとんどブロブが伝播せず、また、high-field側の磁場強度がlow-field側よりも強い場合には、非常に複雑な構造の電流系が形成されることがわかった。これらの成果については、第56回アメリカ物理学会プラズマ分科会などにおいて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、核融合プラズマをはじめとする様々なプラズマにおいて生起する多階層複雑現象について、連結階層アルゴリズムなどを用いたシミュレーションコードを開発、並びに、それによる自己無撞着なシミュレーションの実現を可能にするための知見を得ることにあるが、平成26年度は、研究実績の概要にも示したように、微視的な物理の観点からのシミュレーション研究により、ブロブ輸送などの多階層複雑現象の理解がさらに進展し、その目的は達成されつつある。また、連結モデルにおいて重要となる知見も得られており、本研究は、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題では、主に、3つの研究対象を考えているが、特に、核融合磁場閉じ込め装置周辺部などにおけるプラズマコヒーレント構造による輸送については、今後、次のように推進する予定である。まず、これまでの微視的物理の観点からの現象理解のためにおこなってきた大規模シミュレーションで得られたデータの解析を進め、新たな知見を得ることを目指す。すでに、本年度後半における解析でその一部は得られている。また、これらの成果をもとに、連結モデルを構築し、さらに、次の課題に向けた検討を進める。
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Causes of Carryover |
研究については、おおむね順調に進展しているが、当該年度中に一部のデータの解析などを終えることができなかったため、当初予定において、その他費目を用いておこなう予定であった研究成果の報告を実施できなくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度においては、データの解析、成果のとりまとめを進めるとともに、次年度使用額を用いて、結果の可視化や成果の報告を進める予定である。
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[Presentation] PIC Simulation of Plasma Detachment2014
Author(s)
Seiji Ishiguro, Theerasarn Pianpanit, Hiroki Hasegawa, Ryutaro Kanno
Organizer
56th Annual Meeting of the APS Division of Plasma Physics
Place of Presentation
New Orleans, Louisiana, U. S.
Year and Date
2014-10-27 – 2014-10-31
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