2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23750004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
片野 諭 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (00373291)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / カーボンナノチューブ / 局所発光 / 走査トンネル顕微鏡発光分光 / ナノマニピュレーション |
Research Abstract |
本研究の目的は、走査トンネル顕微鏡(STM)により単一カーボンナノチューブ(CNT)の発光過程を高い空間分解能で明らかにし、その発光現象を制御することである。本研究では、STM探針から放出されるトンネル電子を理想的なナノスケール発光誘起源として利用できることに着目し、CNTの不均一構造に起因する局所的な励起子の振る舞いおよび発光ダイナミクスを究極の空間分解能で明らかにすることを目指した。昨年度において、本課題の遂行に必要なシステム構築を主に行い研究環境を整えた。 平成24年度に行った研究の業績詳細は次の通りである。(1)乾式接触法によるCNT固定化の改良、(2)CNTのSTM計測、(3)トンネル電子注入によるSTMを用いたCNTの局所化学反応、(4)STM発光計測を用いたCNTの局所分光測定。昨年度、溶媒フリーな乾式接触法によりCNTを比較的良好に固定化できることが分かった。しかしながら、CNTの固定化密度が小さく、STM計測に適さないことが判明した。本年度において、従来から報告されている乾式接触法の改良を行った。その結果、高密度で孤立した単一鎖CNTをAu基板表面に固定化することに成功した。また、CNTのSTM計測を試みたところ、単一鎖CNTおよびハニカム構造で特徴づけられるCNTの原子構造を明瞭に観察することに成功した。CNT鎖の直上で、3 V程度の電圧パルスを印加したところ、CNTが部分的に反応することを見出した。このような単一鎖のCNT上でSTM発光を計測したところ、CNTのバンド間遷移に起因する発光を捕らえることに成功した。さらに、CNT構造が局所的に崩れた場所でSTM発光計測を行ったところ、スペクトル形状が大きく変化することが分かった。このような発光スペクトルの変化は、電子構造の変化に起因すると考えられるが、詳細なメカニズム関しては現在検討中である。
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Research Products
(5 results)