2012 Fiscal Year Research-status Report
分子シミュレーションによる膜タンパク質の分子透過性に関する理論的研究
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23750008
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
齋藤 大明 金沢大学, 数物科学系, 助教 (40506820)
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Keywords | 分子動力学 / 脂質二重層膜 / イオンチャネル / グラミシジン |
Research Abstract |
本研究では,グラミシジンAの脂質二重層膜への添加効果の評価のために,膜タンパク質-脂質二重層膜系の分子動力学シミュレーションを実行する.具体的には,膜溶媒である脂質分子のアシル鎖の長さを変え,グラミシジンAと脂質分子との疎水性相互作用マッチングを変化させた場合の分子動力学シミュレーションを実行させる.本研究では2種類の長さの違う脂質分子(DMPC; diC14:0-PC, DSPC; diC18:0-PC)を用い、これら脂質分子で構成される脂質二重層膜へグラミシジンAを添加させ、MDシミュレーションを実行する。解析には膜厚方向に対する圧力特性と静電ポテンシャルの解析を行い、グラミシジンのイオン透過性についての検証を行った。2つの系の圧力特性比較の結果、膜の中心付近(| z | < 8 A)では2つの系の圧力に大きな違いが見られないのに対し、それ以外の膜内領域ではDSPC/GA膜の方が大きな圧力特性を示した。すなわち、DSPC膜の方がグラミシジンへの側面圧力が高いことが示された。グラミシジンのz方向に対する細孔半径の解析の結果、細孔半径は膜の中心付近では大きな違いが見られなかったが、チャネルゲート付近(| z | > 10 A)ではDSPC膜内のグラミシジンの細孔半径の方が小さい値を示した。この違いはDSPC、DMPC膜における膜内圧力特性の違いから生じており、チャネルゲート付近の細孔の縮小はイオン原子のゲートへのアクセシビリティの減少を示唆している。静電ポテンシャルの解析では、グラミシジンのチャネル内でカチオンが安定性を示す事がしめされ、グラミシジンのイオン透過に関するイオン選択を説明する結果が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はグラミシジン/脂質二重層膜の系での1.構造解析, 2.分子透過性, 3. 膜内安定性評価としており、これまでの研究によって研究項目の1.と2.が十分達成されている。これらの研究結果も学術論文としてすでに出版されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はグラミシジンのイオンチャネルでのイオン透過性評価と、グラミシジンの膜内安定性の評価を自由エネルギー計算により評価する。これらの研究遂行には、十分な文献調査や高精度の自由エネルギー計算を実行するための計算プログラムの準備・開発が重要となる。実際のアプリケーションの前に十分な検証計算を行いつつ、これらの研究課題を遂行していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度は研究によって得られた成果を積極的に報告するために、国内・国外の学会に多数参加する予定である。国内では分子科学会、生物物理年会、The 12th Asia Pacific Physics Conference(APPC2013)、分子シミュレーション討論会に参加予定である。国外では2月でアメリカで開かれるSanibel Symposiumに参加予定である。国内旅費として20万円、国外旅費として30万円を予定している。
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Research Products
(44 results)