2012 Fiscal Year Annual Research Report
光電子分光による電極界面の局所環境計測:溶媒和したレドックス活性種の電子状態評価
Project/Area Number |
23750013
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
横田 泰之 大阪大学, 基礎工学研究科, 助教 (00455370)
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Keywords | 光電子分光 / 電気化学 / 自己組織化単分子膜 / フェロセン / イオン液体 |
Research Abstract |
近年、電気化学環境下における原子・分子の局所環境を明らかにし、生体内の電子移動反応と同レベルで精密設計された機能デバイスの構築が注目されている。例えば色素増感太陽電池では、半導体/色素/電解質という複雑な界面において0.1 eVレベルの精密なエネルギー準位接続が求められているが、色素のエネルギーとしてHOMO準位と酸化還元電位が曖昧に用いられているため、これらを包括できる実験的・理論的枠組みの構築が必要不可欠となっている。本研究では、金属/レドックス活性種/電解質界面を構築し、HOMO準位と酸化還元電位の相関関係を明らかにすることで、デバイス設計の新たな指針を構築することを目的とした。具体的な実験としては、フェロセン誘導体自己組織化単分子膜の上に電解質としてイオン液体薄膜を作製し、擬似的な電極界面を構築した。光電子分光によるHOMO準位の測定から、イオン液体の担持によってフェロセン誘導体のHOMO準位が0.3 eVも低束縛エネルギー側にシフトすることを見出した。これにより、レドックス活性種と溶媒やイオンとの相互作用が本質的に重要であることが強く示唆された。さらに、HOMO準位を意図的に変化させるためオクタメチルフェロセン誘導体を新規に合成して同様の実験を行ったところ、イオン液体を担持させるだけでオクタメチルフェロセン誘導体が酸化されるという興味深い結果が得られた。光電子分光測定と電気化学測定の結果を慎重に比較検討したところ、フェロセン誘導体SAMの酸化還元反応において、局所構造の違いを反映して異なる分子軌道が電子移動に関与していることが強く示唆された。この結果は、今後の電極デバイス開発の設計において積極的に利用すべき重要なファクターであると考えられる。
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Research Products
(9 results)