2012 Fiscal Year Annual Research Report
ベンゼンの電子移動酸化による芳香族置換光触媒反応の開発
Project/Area Number |
23750014
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
大久保 敬 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 特任准教授 (00379140)
|
Keywords | ベンゼン / フェノール / 光触媒 / 酸素 / レーザーフラッシュフォトリシス / ラジカル反応 / ハロゲン化 / 電子移動 |
Research Abstract |
本研究では下記に示す成果を得た。 【水を酸素源とするベンゼンの光酸素化反応】 2,3-ジクロロ-5,6-ジシアノ-p-ベンゾキノン (DDQ) 、ベンゼン、水を含む酸素飽和アセトニトリル溶液にλ > 390 nmのキセノンランプ光を5時間照射すると、DDQと当量のベンゼンが消費され、対応するヒドロキノン (DDQH2) とフェノールが生成した。一方、亜硝酸tert-ブチル (TBN, 1.5 mM) を加え、同様に光照射をおこなうと、TBNより発生した一酸化窒素と酸素によってDDQH2がDDQへと酸化され、触媒的にフェノールを生成した (式1)。反応5時間でのベンゼンの転化率は61%、フェノールの選択率は92%で得られ、光触媒量に対するフェノール生成の触媒回転数 (TON) は6、光量子収率は0.45であった。また、18O水を用いたラベル実験やナノ秒レーザーフラッシュフォトリシスによる反応中間体の検出の結果から、本反応はベンゼンラジカルカチオンと水との反応を経由して進行することが分かった。 【ハロゲン化物を用いたベンゼンの光ハロゲン化反応】 ベンゼンの一電子酸化によって生成するベンゼンラジカルカチオンは強い求電子剤であることから、フッ化物イオンを用いたベンゼンの一段階光フッ素化反応について試みた。QuCN+過塩素酸塩、ベンゼン、また扱いの容易なフッ化物イオン源としてフッ化テトラエチルアンモニウム・4フッ化水素塩 (TEAF・4HF, 50 mM) を含む酸素飽和アセトニトリル溶液にλ > 290 nmのキセノンランプ光を50分間照射すると、ベンゼンが37%転化し、フルオロベンゼンは選択率51%で得られた。また同時に過酸化水素が生成している事も分かった。さらに塩酸を使用した場合では光塩素化反応が進行することも見いだした。
|
Research Products
(76 results)