2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23750015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
水野 操 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (10464257)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 共鳴ラマン分光法 / 時間分解分光法 / 微生物型ロドプシン / タンパク質ダイナミクス / 光異性化 / イオン輸送 / 光センサー |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、時間分解共鳴ラマン分光法により、塩化物イオンポンプであるハロロドプシン(HR)およびプロトンポンプであるグロイオバクターロドプシン(GR)の光反応中間体におけるレチナール発色団の構造変化の過程を観測した。とくに、発色団中にあるプロトン化シッフ塩基の水素結合強度を反映する振動バンドのスペクトル変化から、HRおよびGRのイオンポンプ機構に重要な構造変化の過程を見出すことに成功した。また、共鳴ラマン分光法により、新規に発見された海洋性細菌由来の塩化物イオンポンプタンパク質(FR)の光定常状態における発色団構造を調べた。FRは結晶構造がわからないが、発色団周辺の陰イオン結合サイトに対する新たな知見を得ることができた。 研究期間を通じて、光駆動イオンポンプおよび光センサーとして働く各種の微生物型ロドプシンの構造ダイナミクスを観測した。第一に、時間分解紫外共鳴ラマン分光法により、ピコ秒領域で起こる発色団異性化に対するタンパク質応答を調べた。発色団周辺には、紫外光による共鳴効果を受ける芳香族アミノ酸残基が種を通じて保存されている。これらのアミノ酸側鎖に由来する共鳴ラマンバンドをプローブとすることで、発色団異性化に対するタンパク質応答は機能によらず同様であることを示唆する知見を得た。第二に、時間分解可視共鳴ラマン分光法をもちいて、ナノ秒以降で段階的に変化する発色団構造を調べた。とくにイオンをポンプするタンパク質では、発色団の一部であるプロトン化シッフ塩基の水素結合強度が出現する反応中間体により変化する過程を連続して追跡したことにより、ポンプ機構に重要な発色団周辺の構造変化を提案することができた。 以上の成果は、論文3報、招待講演7(2)件、学会発表8(1)件により発表した(カッコ内は平成27年度における発表)。また、現在投稿準備中の論文が3報ある。
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Research Products
(8 results)