2012 Fiscal Year Annual Research Report
高時間分解・空間分解能を有する分光装置の構築と局所場での新奇光化学反応制御
Project/Area Number |
23750016
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
石橋 千英 愛媛大学, 理工学研究科, 助教 (10506447)
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Keywords | 顕微分光計測 / 励起状態ダイナミクス / 時間分解分光 / 光化学反応 / ナノ粒子 / 高強度励起 / 空間分解分光 |
Research Abstract |
本研究では、固体試料や単発現象などを代表とする従来の時間分解分光計測手法では対応できない試料を対象とした時間分解分光計測装置を構築した。構築した装置は、従来の過渡吸収測定装置とは異なり、再生増幅器を用いずTi:Sapphireレーザー発振器のみの微弱強度のパルス光を対物レンズにより固体試料に集光するので、集光面積でのみ光強度が高まり、試料の破壊が起こりにくいことが特長の一つである。また励起波長は基本波の第2高調波に限られるが、観測波長はフェムト秒白色光を発生させているために500 nmから750 nmと幅広い。さらに対物レンズによる試料への集光は単純にマイクロメートルの空間分解能を付加できるが、試料からの反射あるいは後方散乱光を共焦点配置した光学系を通して検出することも可能なために数百ナノメートルの空間分解能も達成している。一方、時間分解能においては、参照試料計測により約800 fsと見積もられ、サブピコ秒を達成した。この構築した装置を用いて、有機固体試料を測定したところ、試料の破壊は全く起こらず、1ミリOD程度の過渡吸収信号を短時間(5分程度)で取得できた。加えて、この過渡吸収信号の時間変化に対する波長依存性の測定も行うことが可能であった。つまり、サブピコ秒の時間分解能とサブマイクロメートルの空間分解能を持つ過渡吸収測定装置を構築し、試料を破壊することなく有機結晶の励起状態ダイナミクスの測定に成功した。加えて非可逆な過程を観測するために、ミラー型エシェロンを用いた単発励起による過渡吸収測定可能な光学系も構築しており、このミラーを使用したSHG信号の取得にも成功した。
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