2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23750028
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Research Institution | The Open University of Japan |
Principal Investigator |
安池 智一 放送大学, 教養学部, 准教授 (10419856)
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Keywords | 界面光分子科学 / 電子励起状態 / 電子寿命 / 開放系 / クラスターモデル / プラズモン / 電極反応 |
Research Abstract |
近年,界面分子の光励起が関与する現象の重要性が強く認識され,多くの先端的な実験研究が行われている.本研究では,実験研究が先行する界面光分子科学のための理論開発およびその基礎研究を行った. 「量子開放系クラスターモデル」に基づく大規模数値計算が可能なプログラムの開発を行った.このモデルは,界面分子の電子状態を適切に計算する手法として我々が提案したもので,分子と近傍の原子からなるクラスターを開放系として扱うことによって,従来のクラスターモデルの欠点を補う点に特徴がある.開発した計算プログラムでは,グリッド基底による密度汎関数法を採用し,各種の並列化の工夫によって100万グリッド程度を必要とする大規模なシステムの励起状態計算を可能とした.また,Madelung ポテンシャルや分極連続体による溶媒効果の考慮によって,実用上重要な酸化物界面および電極反応などで本質的な固体液体界面のモデリングも可能となっている. 界面分子科学の基礎的な問題を取り上げ,開発したプログラムによって以下のような知見を得た. (1) Cs/Cu(111)系において 3.0 eV に観測される励起状態の帰属の問題を解決し,これが銅基板からCs(5dσ)への励起であることを明らかにした.(2) 開放系としての取扱いによって化学ポテンシャルに基づく議論ができることを活かし,アンダーポテンシャルデポジションを例に,電極反応の定量的な議論ができることを明らかにした.(3) 色素増感太陽電池のモデルとして酸化チタン表面に吸着した金属ナノクラスターの系を考え,ナノクラスターは励起状態からの電子移動が十分高速で増感剤として有用であることを示した.(4) CO/Cu(100)系のパルスレーザー照射で生じる hot electron 状態で起こる CO 分子のダイナミクスを,有効ポテンシャルと摩擦係数によって表現することに成功した.
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Research Products
(5 results)