2011 Fiscal Year Annual Research Report
TTF連結オリゴイミダゾールのらせん型金属錯体を用いたキラル有機導電体の開発
Project/Area Number |
23750039
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 剛志 大阪大学, 理学研究科, 招へい研究員 (40535358)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 有機導体 / キラリティー / ヘリケート / 合成化学 |
Research Abstract |
オリゴイミダゾール類は強い金属配位能を持ち、自己集合過程を経て強固な骨格を有する3重らせん型金属錯体を形成する。一方、テトラチアフルバレン(TTF)類縁体は、その発見から約半世紀を経てなお有機導電体の研究分野の主役であり、現在も多くの新しい現象が発見され、世界でも権威ある学術誌を賑わしている。本申請研究ではこれら2つを組み合わせることによって、らせん形成に基づくキラリティーとTTFが有する酸化環元能や電子輸送能、遷移金属原子の持つ多彩な電子的・磁気的特性が旨つの分子内に共存した新しい分子システムの開拓を目指す。さらに、これを固体状態で集積化させることによってキラル電気伝導などの新奇な複合機能を探索・創成する。 本年度は、昨年度に合成したイミダゾールの四量体にベンゼン環を介してTTFを連結させた誘導体およびその二核三重らせん錯体について、金属錯体化ならびにその電荷移動錯体の合成を行った。溶液中で配立子とNi(II)イオンをモル比32で混合することでらせん型錯体を合成し、これに系中でヨウ素を作用させることでTTF骨格を酸化した。固体での電子スペクトルを測定しだ結果TTFのラジカルかチオン種に由来する低エネルギー領域の吸収帯が観測されたことから、TTF骨格が酸化されていることが確認できた。また、透過型顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法による元素分析の結果、この物質中にNi(II)が含まれていることを確認され、酸化状態でも二核三重らせん錯体を形成していることが示唆された。この結果は、TTF連結オリゴイミダゾールを用いたらせん構造を有する電荷移動錯体の合成ならび}こその機能発現を検討する上で重要な基礎的博報となる成果である。
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