2012 Fiscal Year Annual Research Report
金と担体が協同的に活性を発揮する酸化物担持金ナノ粒子触媒の創生
Project/Area Number |
23750044
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
浜崎 昭行 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (00515174)
|
Keywords | 金ナノ粒子 / 酸化銅担体 / カップリング反応 |
Research Abstract |
本研究では、酸化銅担持金ナノ粒子(Au/CuO)を用いて、金ナノ粒子および担体である銅の両方が効率的に働き、既存の触媒では達成できなかった効率的な分子変換反応を開発することを目的として研究を行った。 研究の最終目的は金と銅の両方をうまく働かせることであるが、最初から複数の活性種が関与する反応を行うと反応系が複雑になりすぎ、条件検討が煩雑になる可能性がある。そこで、反応系をシンプルにするために、初年度である平成23年度には銅のみが活性種として働く反応について検討を行った。銅のみが関与する反応として、ヨウ化ベンゼンとフェニルアセチレンを基質とした薗頭-萩原カップリング反応について検討を行ったところ、ピリジンを溶媒とし炭酸セシウムを塩基として添加した条件において、最高収率87%で目的とするジフェニルアセチレンを得ることができた。 平成24年度には銅に加え金も活性を示す反応系の検討を開始した。具体的には2-ヨードニトロベンゼンとフェニルアセチレンを基質とすることで、銅が活性種となる薗頭-萩原カップリングに引き続いて、金が活性種となりニトロ基の還元および分子内環化することで、インドール誘導体を得ようと試みた。しかしながら、種々検討を行ったが、目的とするインドール誘導体は極めて低収率でしか得られなかった。その後、反応の各段階について詳細に検討したところ、塩基性条件下においては金が活性種となるニトロ基の還元が著しく阻害されることがわかり、塩基が必須である薗頭-萩原カップリングとの両立は難しいと考えられた。 有機合成反応の開発と並行して、Au/CuOの表面化学的性質の解析も行った。透過型電子顕微鏡やX線吸収微細構造解析などを行い、触媒の粒子径や価数についての情報を得た。これらの結果は、ナノ粒子触媒開発における基礎的知見となり得るものである。
|
Research Products
(3 results)