2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規キラル有機塩基触媒の開発及び直接的不斉アルドール反応への応用
Project/Area Number |
23750046
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
御前 智則 兵庫県立大学, その他の研究科, 助教 (00411786)
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Keywords | 合成有機化学 / 不斉有機分子触媒 / 不斉合成 / 不斉反応 |
Research Abstract |
直接的不斉アルドール反応の開発を念頭に置き、新しい有機塩基触媒の開発をおこない、全く前例のない分子内にウレア基を持つキラルビグアナイドや、P1ホスファゼンとグアニジンを組み合わせた強塩基有機分子触媒の合成に成功した。しかし、塩基触媒としての活性は非常に低いものであった。原因について現在は化合物自体の嵩高さによる立体障害および、水素供与基であるウレア基と塩基性官能基の位置関係が不適切で、これら官能基同士で分子内での中和が起こり、不活性化している可能性があると考えている。求核剤基質の探索では、α位の酸性度や、反応後の誘導化等についても考慮した上で、種々の新しい基質の設計及び合成を行い、その評価としてアキラルな有機塩基触媒を用いた反応の検討を行った。その結果、当初計画していたタイプの単純脂肪酸から誘導化した求核剤基質では有望な化合物を見出すには至らなかったが、ある種のアズラクトン類で、直接的なビニロガスアルドール反応が首尾よく進行することを見出した。この求核剤基質の酸性度は十分に高く、グアニジンでも速やかに反応が進行したため、不斉反応への展開を目指し触媒構造の最適化を試み、syn/anti選択性に関しては非常に高い値(97:3 ~ 99:1)を達成した。エナンチオ選択性は最高で39% eeであった。また、以前我々が見出した求核剤基質5H-oxazol-4-oneの硫黄アナログ5H-thiazol-4-oneへの展開も試み、最高で44% eeでアルドール反応が進行することを見出した。引き続き選択性の向上を検討中である。また、触媒構造、求核剤基質の構造の選択性への影響などの知見を得るため、関連する研究としてグアニジン触媒を用いる5H-oxazol-4-oneの種々の付加反応への展開も検討し、多くの反応で高い選択性を与えることが分かった。
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