2012 Fiscal Year Annual Research Report
異核金属クラスター触媒による複数活性中心の制御法開拓
Project/Area Number |
23750049
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
遠藤 恆平 金沢大学, 物質化学系, 准教授 (70454064)
|
Keywords | 有機合成化学 / 触媒 / 金属錯体 / 有機金属化学 |
Research Abstract |
本研究は「異核金属クラスター」の触媒機能の開発に焦点を当てた。有機合成化学は、単一の分子を精密に設計し、実際に合成することが可能な特異な研究領域である。しかしながら、分子の精密設計に執心するあまり、複雑な挙動を示す分子集合体を制御することは今現在も困難である。その一例として、分子金属触媒がある。その多くは1つの金属原子を活性点として含み、その金属原子の制御に注目している。すなわち、金属原子の性質に即した結果にはなるが、その金属原子の性質から予測困難な機能発現に至ることは稀である。これは、金属原子の個性に依存することで生まれる、研究者が精密設計不可能な領域となる。一方で、有機合成化学から離れ、無機化学、材料化学や物理化学では、金属原子1つではなく、複数の金属原子の集合体について取り扱っている。複数の金属原子の相互作用により生まれる機能により、従来の課題克服に取り組んでいる。そこで有機合成化学においても同様に、複数の金属原子の協同作用によって新しい機能発現を見込むことができる。しかし、単一分子を扱う有機合成化学では、複数の金属原子、特に異なる金属原子を単一分子に導入することが、分子設計上困難であることが多い。そこで本研究では、独自の分子設計により、複数の異なる金属原子を金属触媒に導入する試みに取り組んだ。その結果、従来では不可能であった触媒活性の発現に至ることを見出した。(1)1つの炭素原子上における相互作用の開発により、これまでにはない反応性の獲得に成功した。(2)複数の金属原子を配列することで、従来法では困難であった、求核的メチル化を経由する、炭素ー炭素結合形成による4級不斉炭素原子の構築に成功した。この独自分子設計は、新しい研究領域の開拓に結びつく成果である。
|
Research Products
(14 results)