2012 Fiscal Year Research-status Report
親水-疎水二重被覆空間で規制された銅ハロゲン化物クラスター錯体の光電子機能化
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23750058
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
久米 晶子 広島大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30431894)
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Keywords | クラスター錯体 / 銅ハロゲン化合物 / 発光特性 / 液体化 |
Research Abstract |
本年度は目的とするための長鎖アルキル基を導入したトリフェニルホスフィン誘導体配位子の合成およびクラスターの調製、それらの発光特性に関するデータを得た。 長鎖アルキル基を持たないキュバン型クラスター錯体は結晶層では強い黄緑色発光を示すが、加圧による結晶相の破壊するとその発光波長が長波長に移動し、セルロース担体に展開すると展開溶媒の種類によってもとの結晶相の発光をしめすか、あるいは全く発光を示さない。一方、今回新たに合成した長鎖アルキル型配位子を用いてヨウ化銅(I)と反応させると、錯形成に伴って黄色発光を示す液体が得られ、クラスター構造を液化することができたと考えられる。この液体クラスターは、非アルキル性の錯体とは異なり、無極性溶媒にも可溶であるが、少量の溶媒添加によってすぐに発光は消失する。また、これらの溶媒を用いてセルロース上に液化クラスター錯体を展開したところ、担体上に一様に分散して、溶媒の種類に関わらず同じ発光を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新規に合成した液体相のクラスター錯体は、流動体で膜状に塗布、担持してもその発光特性があまり変わらないという点で、当初の目的に沿った、孤立化させたクラスター錯体を発光させるという点では進捗している。しかし、発光性に関する定量評価(発光波長および強度)や、発光以外の電子移動特性などの評価がまだ途中段階である。また、クラスターを液体化することによって正確なクラスター構造の同定が困難になっており、これについては関連化合物との比較などをあわせてデータを積み重ねる必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
まず今までに得られている発光性について、様々な基板や相において定量評価できるようにする。それを踏まえて、現在得ているクラスター錯体はそれ自身が液体相ではあるが、少量の有機溶媒を添加すると発光は消失する。アルキル部分と相互作用する溶媒や基板上の分子構造とそのアルキル部分との親和性が発光性の鍵であると考えられるので、混合する溶媒/基板表面の性質、あるいはアルキル鎖の自己集合性を用いた水・有機溶媒での界面構造形成の条件下において、主に発光性を手がかりとして各クラスター錯体の構造の柔軟性について調べる。より強固な内部クラスター構造を持つ条件下において、電子移動に対する構造安定性を調べ、光電子移動特性への応用を試みる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究内容の成果の学会発表および論文発表のために使用する。
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Research Products
(2 results)