2011 Fiscal Year Research-status Report
鉄触媒を用いた脱水素カップリングによる14族元素-ホウ素結合生成反応の創製
Project/Area Number |
23750063
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
板崎 真澄 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (60382032)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 鉄錯体 / 触媒反応 / ホウ素 / 14 族元素 |
Research Abstract |
高価で希少金属である白金、パラジウム、ロジウムなどを用いて 20 年以上の長きに渡り改良を重ねることで、水素-炭素結合の切断が達成され、触媒的有機合成反応は飛躍的に発展してきた。しかし、希少金属は枯渇の懸念があるため、それらを用いない効率的な触媒反応の開発が今後の重要な課題となっている。また、これまで盛んに行われてきた水素-炭素結合の切断の研究に比べ、炭素以外の典型元素と水素間の結合切断は十分に検討されているとは言い難いのが現状である。そこで本研究では、地殻中存在量が第 4 位であるため、希少金属のように枯渇の懸念もなく、非常に安価である鉄に着目した。もし、鉄錯体を触媒として、14 族元素化合物とホウ素化合物を自在に脱水素カップリングさせることが出来れば、副生成物は水素のみでありアトムエコノミー、製品の製造コスト、触媒の低毒性および元素代替戦略などの観点から非常に価値があると考えられる。本研究は、単に鉄を触媒にするという貴金属触媒の代替品としての役割だけでなく、鉄に特長的な新しい有機合成反応の構築および反応中間体を錯体化学の観点から解明することを目指している。様々な条件を検討した結果、14 族元素配位子をもつ鉄錯体 Cp(CO)Fe(GePh3)(py) に対して、ピナコールボラン HBpin との量論反応をおこなうと鉄上に 14族元素およびホウ素を有するヒドリド鉄(IV) 錯体 Cp(CO)Fe(H)(GePh3)(Bpin) が生成することを見出した。また Cp*(CO)2Fe(Me) と 3 当量の HBpin の光反応では、これまでに知られていないジボリルヒドリド鉄(IV) 錯体が生成することも明らかにした。これらの錯体は触媒サイクルを構築する上で鍵となる重要な中間体であると考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
14 族元素を有する鉄錯体 Cp(CO)Fe(GePh3)(py) とピナコールボラン HBpin の量論反応をおこなうと、鉄上に 14 族元素およびホウ素を有する錯体が生成することを見出した。この錯体は、我々が目指している 14 族元素-ホウ素結合生成反応の重要な中間体と考えられるため、研究はおおむね順調に進展している。
|
Strategy for Future Research Activity |
目的とする 14 族元素-ホウ素結合生成反応の重要な中間体の合成に成功したので、この錯体の反応性を詳細に検討することで、触媒サイクルの構築を目指す。その後、この反応における基質の適応範囲の拡張やより高活性な触媒の探索を行いたいと考えている。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
目的とする 14 族元素-ホウ素結合生成反応を達成するための有機ホウ素やケイ素試薬の購入および必要な情報を得るために国内学会などに参加する際の経費として適時、使用する予定である。
|
Research Products
(19 results)