2012 Fiscal Year Annual Research Report
鉄触媒を用いた脱水素カップリングによる14族元素-ホウ素結合生成反応の創製
Project/Area Number |
23750063
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
板崎 真澄 大阪市立大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (60382032)
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Keywords | 鉄触媒 / ヒドロシラン / ホウ素化合物 |
Research Abstract |
本研究では、安価で枯渇の懸念がない鉄の特長を活かして、鉄錯体を用いた新しい有機合成反応の構築を目指す。具体的には、鉄錯体を用いて E-H (E = Si, Ge, Sn) 結合をもつ 14 族元素化合物と B-H 結合をもつホウ素化合物の反応において、14 族元素-ホウ素結合を生成する。また反応中間体を錯体化学の観点から検討する。この反応は、高価で希少な金属を用いることなく安価な鉄を中心金属に用いている点、空気や湿度に比較的安定な鉄錯体 Cp(CO)2Fe(Me) を触媒前駆体として用いている点が特長である。このような反応を開発することは、元素代替戦略の観点からも重要度が高く注目に値する。様々な条件を検討した結果、14 族元素配位子をもつ鉄錯体 Cp(CO)Fe(GePh3)(py) に対して、ピナコールボラン HBpin との量論反応をおこなうと鉄上に 14族元素およびホウ素を有するヒドリド鉄(IV) 錯体 Cp(CO)Fe(H)(GePh3)(Bpin) が生成することを見出した。また Cp*(CO)2Fe(Me) と 3 当量の HBpin の光反応では、これまでに知られていないジボリルヒドリド鉄(IV) 錯体が生成することも明らかにした。これらの知見をもとにピナコールボランに対して 3 当量のトリエチルシランとの反応を 10 mol% の Cp(CO)2Fe(Me) を触媒として用いて、無溶媒、光照射条件下、5 ºC で 3 日間行った。その結果、GC-MS にて目的物である 14 族元素‒ホウ素結合を有するシリルボラン Et3Si‒Bpin およびボラシロキサン Et3Si‒O‒Bpin に帰属されるピークが観測された。
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Research Products
(11 results)