2012 Fiscal Year Annual Research Report
酵素インスパイアードマンガン4核クラスター触媒表面の創製と選択酸化触媒機能創出
Project/Area Number |
23750068
|
Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
邨次 智 分子科学研究所, 物質分子科学研究領域, 助教 (20545719)
|
Keywords | マンガン / クラスター / 酸化物表面 / 固定化 / 触媒 / シリカマトリックス / アルケン / 選択的エポキシ化 |
Research Abstract |
生体内の光合成酵素のモデル錯体の一つであるマンガン(Mn)4核オキソクラスター、[Mn4O2(CH3COO)7(C10H8N2)2] ClO4 (A)をSiO2表面へ固定化、続く真空加熱排気を行うことで3種類の酸化物表面固定化Mnクラスター触媒(B)、(C)、(D)をそれぞれ調製した。また、(B)にシリカマトリックスを積層したマトリックス保護Mnクラスター触媒(E)を調製し、シリカマトリックスの積層量、積層回数と触媒活性、安定性の関係について検討した。 どの固定化Mnクラスター触媒も酸素/イソブチルアルデヒドを用いたトランススチルベンのエポキシ化反応において、高い活性と選択性で対応するエポキシドを生成した。SiO2固定化Mnクラスター触媒(B)、(C)、(D)では、固定化されたMnクラスターの約半分のMnが溶液中へ溶出したのに対し、高さ2 nmに相当するマトリックスを1回積層した(E-1)、高さ4 nmに相当するシリカマトリックスを1回積層した(E-2)では、Mn溶出量はそれぞれ0.41%、0.02%となり、Mnの溶出量を劇的に抑制できることを見出した。特に高さ2 nmに相当するシリカマトリックスを2回積層した(E-3)において、その溶出量を0.01%まで抑制することに成功し、また、5回の再利用でも転化率の低下が見られなかったことから、表面マトリックスにより高い安定性を発現する触媒へと変換可能なことが分かった。(E)は種々の内部アルケン類のエポキシ化に高い選択性を示したとともに、触媒反応が固定化されたMn上で進行することを明らかにした。 また、多種類の金属クラスターの酸化物表面固定化と選択酸化反応活性についても検討を行うとともに、表面モレキュラーインプリンティング錯体についても展開を行うことができた。
|