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2011 Fiscal Year Research-status Report

ローレンシウムの電子状態の解明

Research Project

Project/Area Number 23750070
Research InstitutionJapan Atomic Energy Agency

Principal Investigator

豊嶋 厚史  独立行政法人日本原子力研究開発機構, 先端基礎研究センター, 研究員 (40414578)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2013-03-31
Keywords超重元素 / ローレンシウム / 相対論効果 / 酸化還元電位 / 電気化学 / 迅速化学分離 / 核化学
Research Abstract

本研究では、電気化学的手法を用いて103番元素ローレンシウム(Lr)の還元電位を決定する。Lrはアクチノイド系列の最後の元素であるが、相対論効果によって7p軌道が安定化され、基底状態が5f147s27pとなると予測されている。さらに興味深い事に、水溶液中で安定な3価イオンは1価へ還元されると考えられている。このような相対論効果による電子軌道の逆転はLrに対してのみ、はっきりと予測されており、Lrの還元電位を決定すると相対論効果の酸化還元的性質への影響を明確にできる。しかしその一方、重イオン核反応よって合成されるLrの生成量は1分に約3原子と非常に少なく、また寿命も25秒とかなり短い。そのため、シングルアトムレベルで取り扱われ、通常の電気化学的手法をLrの還元電位測定にそのまま適用する事はできない。研究代表者はこれまでシングルアトムレベルでの電気化学的手法を独自のアイデアで開発する事に成功しており、本研究計画ではそれを発展させ、Lrに適用可能な迅速自動電気化学分離装置を新たに開発した。この装置ではクロマトグラフ電極カラムを左右対称に配置して交互に使用し、さらにはカラムマガジンを用いて次々と新しいカラムを使用するために、カラムのコンディショニングなどのための時間を必要としない。すなわち、電気化学クロマトグラフ分離を迅速に再現性よく数百回以上繰り返す事が可能なため、短寿命で合成量の少ないLrに対しても、その還元電位を効率よく決定する事ができる。クロマトグラフ電極カラムには、陽イオン交換樹脂で化学修飾したカーボンパウダーを用いて機能性電極を製作した。そのため、Lr3+をLr+に還元できると共に価数によってそれらを分離する事ができ、それぞれの比率から還元電位を決定する事ができる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

交付申請書に記載した研究計画に従い、ローレンシウムの還元に向けた自動迅速電気化学装置を平成23年度中に新たに開発する事に成功した。一方、東北東日本大震災の影響により放射性トレーサーを用いた基礎実験の遂行はやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

まず、放射性トレーサーを用いて、開発した装置の分離能力ならびに電解効率を確認する。Lu3+、Rb+、In+およびTl+を用いて模擬実験を行う。トレーサーレベルとマクロ量での挙動を比較し、実験データの信頼性を確認しつつ模擬実験を進める。また、電解質溶液として、塩酸水溶液、アセトニトリルおよびベンゾニトリルを使用する。Lrが水溶液中では還元されない可能性もあるため、ドナー数が小さく還元されやすくなる上記の有機溶媒を用いて基礎データを取得しておく。その後、Lrのオンライン還元実験を行う。得られたLr+の溶離挙動や還元電位をp性のIn+、Tl+あるいは閉殻構造のRb+の挙動と比較し、Lr+の電子構造についての考察を行う。また、Lrの還元電位から7p軌道電子や6d軌道電子の結合エネルギーを考察する。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

平成23年度に開発した自動迅速電気化学装置のカラム電極を製作するためのカーボンパウダーや多孔質カラム材、あるいは放射性トレーサーを作成するための標的フォイルや試薬など、消耗品を購入するために使用する。

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Published: 2013-07-10  

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