2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23750081
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小松 広和 東京大学, 薬学研究科(研究院), 研究員 (10407140)
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Keywords | 蛍光 / りん光 / 分子プローブ / イメージング / 低酸素 / レシオ測定 / がん / ルテニウム錯体 |
Research Abstract |
がんの次世代検出法としては、従来のがんの形態的情報の画像化を超えた、病態情報の一つである低酸素状態のイメージング法の開発が急務である。しかしながら、従来法の低酸素プローブでは可逆性がなく、イメージングにおける定量性・リアルタイム性に問題があった。そこで、光学的方法もしくはNMR/MRI法において定量的・可逆的な酸素応答を得ることを目指したレシオメトリックプローブの開発及びその細胞・生体イメージングへの応用実験を計画した。 そこで、可逆的な酸素応答を示すルテニウム錯体を用いることで、そのりん光の酸素依存的な変化を活用したりん光プローブを開発することにした。初めにモデル錯体Ru-Phenの開発を行った。ルテニウム錯体Ru-Phenは水系でバイオイメージングに適する600nm付近にりん光を示し、その燐光は酸素に可逆的に光学応答することがわかった。また、Ru-Phen誘導体を十数種合成し、置換基効果を検討した。 さらにレシオメトリック応答を実現するために蛍光色素クマリンを分子内に導入した蛍光りん光プローブであるRu-Cou-1を開発した。その上脂溶性を改良したRu-Cou-2によって、その脂溶性効果によってプローブの効果的な細胞内導入が可能になった。実際に、Ru-Cou-2を用いてがん細胞内の酸素濃度の変化に応じてレシオメトリックに蛍光およびりん光が変化することを観測できた。また、レシオメトリーによる検量線も作成でき、定量的な低酸素プローブRu-Cou-2の開発に成功したといえる。 低酸素状態の定量的ながん細胞内イメージングを実現したことから、実用性のあるイメージングプローブを開発に成功したといえる。また、低酸素に関わる疾病・疾患の定量的な検出と解明へ向けたバイオ応用の進展が期待される。
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