2012 Fiscal Year Annual Research Report
塩酸、硝酸系における104番元素Rfのイオン交換挙動の解明
Project/Area Number |
23750082
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
笠松 良崇 大阪大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (70435593)
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Keywords | 超重元素 / 放射線 / 固液抽出 / triisooctylamine |
Research Abstract |
最終年度は、主に超重元素の固液抽出実験を行うための装置開発とその性能評価実験を行った。固液抽出を行うためのセルの形状や素材を104番元素Rfの同族元素であるZrとHfの放射性トレーサーを用いたテスト抽出実験から決定し、作成した。また、それに加えて溶液切り替えバルブやスライダー、脱気用バルブなどを作成し、装置全体を組み立てた。これらの制御をPCを用いて自動で制御できるようにLabVIEWの回路を組み、ソフトを作成して自動制御のテストを行った。 これら装置開発を完了し、ZrとHfを用いたテスト抽出実験を十分に行った後に、実際に大阪大学の核物理研究センターや理化学研究所の加速器施設に開発した装置を持っていき、加速器での元素合成とオンラインで化学装置を連結し、短寿命の核種を用いて迅速で反復した自動抽出実験を行った、振とう時間や溶液の濃度などの様々な条件を変更しながら溶媒抽出を行い分配比を求めた。結果として、最短の振とう時間であった10秒で平衡に到達した分配比が、実験を行った塩酸濃度領域(7-11 M)で得られることが分かった。これらの結果から本実験装置を用いて半減期が68秒のRfや34秒の105番元素Dbに至るまでを対象にして抽出実験が行えることが分かった。また、超重元素に対して世界で初となる時間依存性を観測できる装置を開発することができたといえる。 前年度にはZrとHfのトレーサーを用いて、塩酸溶液からのTIOAやAliquat336の抽出剤を用いた固液抽出や陰イオン交換の実験を行い、時間依存性や塩酸濃度依存性、抽出剤濃度依存性からその化学挙動をを詳細に調べることができ、Rfの化学実験手法の確立と実験条件の決定を行うことができた。 本研究全体の成果として、まさに新しい超重元素化学としてRfの固液抽出実験を行う準備が整ったといえる。
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Research Products
(5 results)