2011 Fiscal Year Research-status Report
安全に蛍光細胞イメージングに利用できる機能性ケイ素量子ドットの設計と評価
Project/Area Number |
23750085
|
Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
中原 佳夫 和歌山大学, システム工学部, 助教 (10432600)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 量子ドット / ケイ素 / 生体適合性 / 蛍光 / 水分散 / バイオイメージング / 細胞 / 糖鎖 |
Research Abstract |
テトラクロロシランを出発原料とし、テトラオクチルアンモニウムブロミドから成る逆ミセルを鋳型として用いて、溶液プロセスによってケイ素量子ドットを合成した。続いて、アリルアミンとのヒドロシリル化反応によって粒子表面にアミノ基を導入し、最終的には水溶性を付与するために、末端を糖鎖によって化学修飾した。作製されたケイ素量子ドットは青色発光を示し、蛍光スペクトルおよび透過型電子顕微鏡観察により、比較的単分散な粒子(粒子サイズ 5-10 nm)が得られていることを確認した。合成時の反応溶液中の水分量を変化させることで量子ドットの粒子サイズの制御を試みたが、水分量を増加することで、蛍光特性の低下(半値幅の増加、量子収率の低下)が引き起こされた。粒子末端に導入した糖鎖の存在を確認するために、レクチンタンパク質の一種であるコンカナバリンAとの相互作用について検討した。グルコサミン修飾量子ドットの場合では、コンカナバリンAの添加によって粒子の凝集が誘起されたが、ガラクトサミン修飾量子ドットの場合では、凝集が誘起されなかった。以上の結果は、既知のコンカナバリンAと糖鎖間の相互作用を反映するため、量子ドットの表面には糖鎖が存在することが示唆された。また、繊維芽細胞に今回作製した糖鎖修飾ケイ素量子ドットを取り込ませたところ、細胞環境下においても目視で確認できる程度の蛍光を確認することができた。今後の課題としては、水溶液中における量子ドットの量子収率の向上が挙げられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、溶液プロセスにより水分散性を示すケイ素量子ドットを開発したが、得られている発光色は青色のみで、それ以外の発光色を示すものは得られていない。申請時に述べた手法「合成時の鋳型として用いる逆ミセルのサイズ変化による量子ドットの発光色の制御」が困難であったために、異なる発光色を示す量子ドットの合成法については、別の手法について早急に再検討する必要がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
ケイ素量子ドットの新たな機能化方法として、粒子末端に重合開始剤を導入し、原子移動ラジカル重合法による表面機能化について検討する。現在までに得られた量子ドットでは水溶液中において量子収率が低下するために、粒子表面を有機高分子で被覆することで、水分子による失活を阻害する方法が有力であると考えられる。特に、非イオン性の水溶性モノマーであるオリゴエチレングリコール部位を有するメタクリレートの使用について詳細に検討を行なう。また、量子ドットからの発光を吸収して励起し、別の色の発光を示す蛍光性分子を導入することで、エネルギー移動による発光色の制御についても検討を試みる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き、ケイ素量子ドットの合成を進めて行く予定であるので、それに関わる物品費(試薬代、ガラス器具代)が主な支出となる。また、作製されたケイ素量子ドットの光安定性を確認するために、ライトガイドや蛍光測定用セルの購入を予定している。得られた研究成果を発表するための学会(国内)参加に関わる出張旅費や、謝金、機器修理費については、昨年度と同程度計上する予定である。
|
Research Products
(1 results)