2011 Fiscal Year Research-status Report
発光性希土類金属錯体の鋳型特異的形成を利用した酵素フリー高感度遺伝子解析法の開発
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23750090
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北村 裕介 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (80433019)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | バイオ分析 / 遺伝子解析 / 希土類金属錯体 / プローブ |
Research Abstract |
本研究では、遺伝情報を簡便かつ迅速に解析するために「ハイスループットで酵素フリーな高感度一塩基多型(SNPs: Single Nucleotide Polymorphisms)解析システムの構築」を目的とした。ラベル化剤として発光性希土類金属に着目し、プローブを設計した。代表的な発光性希土類金属錯体のリガンドは、コンプレキサン型の金属捕捉部位、並びに光増感部位から構成されている。本年度は、この両部位を別々のオリゴヌクレオチド(ODN)末端に修飾した、金属補足プローブ(EDTA修飾プローブ)、光増感プローブ(phen修飾プローブ)をそれぞれ合成した。これらプローブは標的DNAへハイブリダイゼーションした際、それぞれの修飾部位が近接するように配列を設計している。ここで、自発的に修飾部位同士が連結、脱離するような反応(プロテインスプライシング反応)を取り入れることで、標的DNA上でのみ特異的に完全な錯体を合成することができる。なお、合成した2種のODNプローブの修飾部位とODNを結ぶリンカー部位には、同反応に必須なオリゴペプチドユニット(それぞれシステインーアスパラギンユニット、システインユニット)も導入している。合成したプローブは逆相HPLCにて分取し単離し、MALDI-TOFMSによって同定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
光増感プローブ(phen修飾プローブ)は目的量の合成を達成した。金属補足プローブ(EDTA修飾プローブ)は、アスパラギン側鎖のMtt基脱保護の良好な条件を見出したが、目的量には達していないので、引き続き合成を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
両プローブを標的DNAやミスマッチDNAに作用させ、配列特異的に発光性希土類錯体が生成するかを時間分解発光スペクトル測定により確認する。最終的には、UVハンディーランプなどの簡易な励起光源で、PCRでの標的遺伝子の増幅操作を行うことなく、約3×105コピー程度の標的DNA(1 μg程度のヒトゲノムDNAに対応する量)で発光色の目視によるSNPsのタイピングを試みる。つまり、酵素などを使うことなく、リアルタイム定量PCR法に匹敵する効率を実現したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究では、酵素が行っている反応のエッセンスを抽出し、これを再構築することで酵素ミミックな反応の発現を期待している。そのため、いかに酵素と同等な機能や効率を達成できるかが一つの課題となる。本検出法において、シグナル増幅の鍵となるのは、鎖交換反応である。効率良く鎖交換反応を行うためには、標的DNAと形成する二本鎖の熱力学安定性を綿密に考慮したプローブ設計が必須不可欠である。図5に示す様に未反応プローブと標的DNAが形成する二本鎖と、錯体部位が脱離した状態のプローブ(スプライシング後)と標的DNAが形成する二本鎖で有意な融点の差が生じる条件を探索する。両者の熱力学的安定性の比較を行い、検出に最適な温度、プローブ濃度、塩濃度の検討を行う。一連の融解実験は8連セルチェンジャーを装備した紫外可視吸光度測定器にて網羅的に行う。
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Research Products
(3 results)