2012 Fiscal Year Annual Research Report
発光性希土類金属錯体の鋳型特異的形成を利用した酵素フリー高感度遺伝子解析法の開発
Project/Area Number |
23750090
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
北村 裕介 熊本大学, 自然科学研究科, 助教 (80433019)
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Keywords | 核酸 / 希土類金属錯体 / 遺伝子解析 |
Research Abstract |
遺伝子内での一塩基の個体差を一塩基多型(SNPs: Single Nucleotide Polymorphisms)という。SNPsは個人の体質、疾病易罹患性、薬剤感受性等を識別する重要な遺伝子マーカーとして考えられている。現在、溶液ハイプリダイゼーション法をベースにした様々なSNPsのスクリーニング戦略が試みられているが、代表的な手法では、酵素反応(増幅、伸張、連結、切断)を利用しているため操作が煩雑である。また、マイクロアレイ、プレートリーダー、質量分析装置、PCR、シーケンサー等の分析装置は高価な上、熟練技術者がその操作およびデータ解析を行う必要があり、特定の医療機関でしか診断が行えない。そこで本研究では、遺伝情報を簡便かつ迅速に解析するために「ハイスループットで酵素フリーな高感度SNPs解析システムの構築」を目的とした。ラベル化剤として発光性希土類金属に着目し、プローブを設計した。代表的な発光性希土類金属錯体のリガンドは、金属捕捉部位、並びに光増感部位から構成されている。本研究では、この両部位を別々のオリゴヌクレオチド(ODN)末端に修飾し、それぞれ金属補足(EDTA修飾)プローブ、光増感(フェナントロリン修飾)プローブとした。これらプローブは標的DNAへハイブリダイゼーションした際、それぞれの修飾部位が近接するように設計した。ここで、自発的に修飾部位同士が連結、脱離するような反応を取り入れれば、標的DNA上でのみ特異的に完全な錯体を合成することができる。用いる連結反応としては、プロテインスプライシング反応に着目した。設計した2種のODNプローブの修飾部位とODNを結ぶリンカーは、同反応に必須なオリゴペプチドユニットを用いた。合成した両プローブを用い癌抑制遺伝子の代表的なSNPsの一塩基の差を時間分解発光スペクトル測定により高いS/N比で容易に見分けることができた.
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