2012 Fiscal Year Annual Research Report
正確且つ高精度LCMS測定のための新技術開発と基盤整備:分離指向誘導体化法の導入
Project/Area Number |
23750092
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
巴山 忠 福岡大学, 薬学部, 助教 (90549693)
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Keywords | 分離指向性誘導体化 / 液体クロマトグラフィー / 質量分析計 / フルオラス |
Research Abstract |
昨年度は、フルオラス誘導体化法を生理活性(一級)アミン類へ適用し、それらのマトリックス効果を受けない選択的なLC-MS/MS分析法を開発した。 本年度は、本フルオラス誘導体化法をさらに拡張すべく、シアリルオリゴ糖のLC-MS/MS分析に適用した。フルオラス試薬として、アミン型の試薬を用い、縮合剤の存在下、アミド化反応により、対象シアリルオリゴ糖をフルオラス化した。本法によってフルオラス化されたシアリルオリゴ糖は,フルオラスLCカラムによって強力に保持され、試料夾雑物との分離が良好であるばかりか,各シアリルオリゴ糖の分岐異性体同士の分離を行うことも可能であった。本法を実試料(ヒト尿及びヒト母乳)分析に適用したところ、いずれもマトリックス効果を受けることなく、シアリルオリゴ糖の測定を行うことが可能であった。すなわち、極めて極性の高い化合物(糖鎖)の測定にも本フルオラス誘導体化法は有用であり、広範囲の物質へ適用できる可能性が見出せた。 さらに本法をアミノ酸分析に適用した。これまでフルオラス誘導体は、フルオラスLCカラムによる分離を行なっていた。しかしながら、LC分離法はハイスループットに特化しているとは必ずしも言えない。そこで、フルオラス化した測定対象物質(アミノ酸)を、フルオラス固相カラムで前処理し、その溶出液を直接MS/MS分析する方法を考案した。誘導体化反応は、生理活性アミン類のときと同様、還元的アミノ化反応により行った。当初目的のとおり、得られた誘導体はフルオラス固相カラム上で極めて選択的に精製することが可能であり、その溶出液は、十分な再現性をもって直接MS/MS分析に供して測定することが可能であった。 以上、本研究によって、「フルオラス」という概念による「分離を指向した誘導体化法」の実用性及び有用性を確認することができた。
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