2012 Fiscal Year Annual Research Report
ケージド細胞培養基材を用いた細胞微小環境の光制御と細胞機能分析
Project/Area Number |
23750093
|
Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
中西 淳 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (60360608)
|
Keywords | パターニング / ゼータ電位 / ケージド化合物 / ポリエチレングリコール / 細胞接着 / 細胞移動 / 細胞外マトリクス / 膜厚 |
Research Abstract |
外部刺激に応じて表面の細胞接着性が変化する培養基材は,基礎研究から組織工学的まで広範な用途が存在する。本研究では,これまで進めてきた光応答性のケージド細胞培養基材の研究をさらに発展させ,応用範囲を拡大することを目的としている。本年度は,まず昨年度に開発に成功した,光照射前は細胞の接着を「完全に」抑え,光照射後に「即座に」細胞接着性になる基板の詳細な表面解析を行った。具体的には,アミノ基もしくはメチル基を末端にもつ二種類のシラン化剤(APTES,PTES)の混合比を変えた時の表面状態をAFMで観察し両者がほぼ均一に混合していることを突き止め,その上,その接触角測定から実際に表面上におけるこれらの分子の修飾量を見積もった。さらに,ここに二種類の光解離性ポリエチレングリコール(PEG;分子量5Kの後に2K)を順次反応させる過程での膜厚変化をエリプソメトリー測定により求めた。その結果,初めのPEG5Kの反応量は表面のアミノ基密度によってほとんど変動しないものの,続くPEG2Kの反応率はNH2基密度の減少により大幅に低下した。さらに,基板の表面組成は,短期間の培養におけるスイッチング効率には影響を及ぼさないものの,長期間培養するにつれてその影響が大きくなった。これらは界面ナノ構造が生体適合性の制御に重要であることを強く示唆する結果であり,これらを論文にまとめた。また,ポリリジンやキトサンなど一般に細胞培養に良く用いられる人工・生体由来マトリクスも同様の戦略でケージド細胞培養基材にできることを確認した。本研究を通して,細胞微小環境を自在に光制御することが可能となり,その応用範囲が広まった。
|