2011 Fiscal Year Research-status Report
生物希少資源が不要な酵素増幅型エンドトキシン検出法の開発
Project/Area Number |
23750094
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 大 独立行政法人産業技術総合研究所, バイオメディカル研究部門, 研究員 (80533190)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 電気化学検出 / ナノ材料 / エンドトキシン / 酵素反応 |
Research Abstract |
従来、高価なリムルス試薬を必要とするエンドトキシンの計測を、エンドトキシンを認識する分子と、酵素反応によって電気化学的に活性な分子(メディエーター)の応答を増幅する測定技術を利用することで、安価にかつ高感度にエンドトキシンを電気化学検出する簡便な方法の実現を目的とする。このような新規計測法の定量性向上を図るために、具体的に、以下の点を明らかにする。1.リムルス試薬を用いずにエンドトキシンを認識・濃縮し、シグナルをさらに増幅して定量が可能な電気化学エンドトキシン測定系を新たに構築する。2.上述の増幅型エンドトキシン検出において、メディエーターを安定かつ高感度に検出・定量が可能なスパッタナノカーボン電極を導入する。また、検出感度・検出限界をより向上させるためのナノカーボン薄膜電極表面の最適化、ならびに電極のフロー化・微小化を図る。平成23年度は、酵素増幅による電気化学エンドトキシン測定系の構築するため、下記の内容を実施した。 エンドトキシンの認識・濃縮を行う反応場を電極上に構築するため、エンドトキシン認識分子(ポリアミノ酸など)を電極表面へ安定に固定化する方法を探索した。具体的には、牛血清アルブミン(BSA)と認識分子を架橋剤と混在することで、化学的に架橋した膜を構築した。また、フェロセン、ならびに酵素で標識した第二のエンドトキシン認識分子(ポリミキシンB:PMB)を合成した。候補酵素として、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)とアルカリフォスファターゼ(ALP)を標識することを検討した。 以上、得られた修飾電極・標識PMBの組合せから成る測定システムにおいて、メディエーターの酸化電流がエンドトキシンの存在下で、酵素反応のリサイクリング効果によって増幅されることを確認した。その結果、本年度は従来の報告よりも一桁低い検出感度(2ng/mL)を達成した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
認識分子固定化と、当初平成24年度に検討を予定していた表面が原子レベルで平坦で極めてノイズ電流の小さいスパッタナノカーボン薄膜電極の導入を検討し、定量性の向上を図った。以上2点の検討により、本提案の測定システムがエンドトキシンの信号を電気化学的に増幅していることを確認できた。以上の観点においては、当初の予定に沿っておおむね成功した。しかしながら、認識分子の固定化の安定性に課題を残した。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はエンドトキシンをより高感度・かつ定量的に検出するべく、下記の2項目を実施する。1.スパッタナノカーボン薄膜電表面に酸素原子を導入することで、より高感度な応答が得られるカーボン膜表面の最適化を図る。また、導入された酸素官能基(COOHなど)に反応可能な低分子リンカーを合成し、認識分子のより安定な固定化法を模索する。2.電極の高感度化を図るために、ナノカーボン電極のフローシステム化を検討する。一般に電極上の薄層セル構造をμmレベルで制御し、検出感度の向上を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度はエンドトキシン検出システムを構築するための各種試薬、特注セル等、ならびに表面構造作製・解析に必要な各種機器の使用代金等で使用を予定している。また、次年度使用額においては、昨年度請求予定であった生体試薬(エンドトキシン認識分子)の受注生産が間に合わず、今年度に移行した。
|