2012 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキタス金属を触媒とした新規合成反応の開拓とπ電子系化合物創製への応用
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23750100
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
イリエシュ ラウレアン 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (40569951)
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Keywords | 鉄触媒 / 合成化学 / 炭素-水素結合活性化 / 多環芳香族化合物 |
Research Abstract |
将来にわたり化学材料・医薬品等の安定供給を行うため,従来パラジウム,ロジウムといった貴金属触媒を用いて行われてきた合成反応を鉄,銅などのユビキタス金属触媒を用いて実現することは極めて重要であると認識されている.本研究の目的は,鉄,銅などを触媒とした新規合成反応を開拓し,π電子系化合物創製へ応用する. 平成24年度に,鉄触媒を用いた多環芳香族化合物の合成法を開拓した.すなわち,触媒量の鉄塩およびビピリジン型配位子,酸化剤の存在下,アルキンにアリールグリニャール試薬を作用させたところ,アルキンの2分子とアリールの環化による多置換ナフタレン骨格の形成反応が進行すると見いだした.本反応を利用し様々な多置換ナフタレンを合成し,それらの溶液での物性も検討した. また,グリニアル試薬の代わりに市販の安定な芳香族スルフォン酸クロリドを利用可能と分かった.すなわち,触媒量の銅塩,塩基の存在下,アルキンにオルトビアリルスルフォン酸クロリドを作用させたところ,アルキンとビアリールの環化によるフェナントレン骨格の形成反応が進行すると見いだした.さらに,ビアリルビスルフォン酸クロリドに2分子のアルキンを反応させ,テトラアリールピレン誘導体合成が検討ちゅう. 最後に,グリニアル試薬の代わりに芳香族臭化物を検討した結果,鉄塩とビピリジン型配位子,及び酸化剤としてのジクロロイソブタン存在下,ベンゾ[h]キノリンに3当量の芳香族臭化物と,3.3当量の金属マグネシウムを作用させると,オルト位の炭素-水素結合が選択的にアリール化された.系中でグリニャール試薬が生成し,反応していると考えられている.
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Research Products
(20 results)