2012 Fiscal Year Research-status Report
多段階連続マイクロフロー合成装置による活性型ビタミンD3類の高効率合成法の確立
Project/Area Number |
23750101
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
布施 新一郎 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (00505844)
|
Keywords | ビタミンD3 / 光反応 / 熱反応 / マイクロフロー反応 / マイクロフローリアクター |
Research Abstract |
本年は、1)前年までに確立した活性型プロビタミンD3の供給法を基盤として、数種の活性型プロビタミンD3の十分量の供給と、2)供給した活性型プロビタミンD3類縁体を原料とする活性型ビタミンD3類縁体の合成に取り組んだ。すなわち、合成標的としてビタミンD2、カルデロール、アルファカルシドール、ロカルトロールの4つを選定した。これらはいずれも医薬品として用いられている化合物である。これらを対応する活性型プロビタミンD3類縁体から供給することとし、前年までに確立した手法を基盤としてグラムスケールでの供給を検討した。その結果、各段階とも収率良く反応は進行し、マイクロフロー合成の検討に必要な十分量の目的物を供給することに成功した。続いて、供給した原料を用いて、マイクロフロー合成を検討した。前年までの結果を元に、石英製光マイクロフローリアクターをPEEKチューブで連結し、一つ目のリアクターには高圧水銀灯の光を直接照射し、二つ目のリアクターは100度に加熱した油浴上に浮かべ、ガラスUVフィルターを通した光を照射した。上記フローシステムに活性型プロビタミンD3類縁体のジオキサン溶液を注入して反応を行った。その結果、各化合物が概ね単離収率25%程度で得られた。これは、工業法の報告単離収率が20%で以下であることを考え合わせると良好な収率であると言える。一方、最も官能基化された活性型ビタミンD3については、対応する活性型プロビタミンD3の各種有機溶媒に対する溶解性が低く、低濃度条件で反応せざるを得なかったため収率が低下した。そこで、活性型プロビタミンD3の前駆体であるシリルエーテルを用いて、マイクロフロー反応を試みたところ単離収率28%で目的物を得ることに成功した。またシリル基の除去も定量的に進行し、開発した手法が種々の活性型ビタミンD3類縁体の合成に有用であることを実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、研究開始二年目に当たるH24年度までに、種々の活性型ビタミンD3類縁体の合成法を確立することを目的としており、本法を実際に用いた、種々の活性型ビタミンD3類縁体の合成を最終年度に行う予定としていた。しかしながら、研究開始後初年度から順調に研究は進捗し、既に、H24年度までに、上記の通り4種の活性型ビタミンD3類縁体の合成に成功し、開発したマイクロフロー合成法の有用性を実証することができた。また、これらの成果を論文としてまとめてOrganic&BiomolecularChemistry誌に発表した。本論文は審査員から高い評価を得て、本雑誌の表紙に選定された。
|
Strategy for Future Research Activity |
本年までにほぼ当初予定していた研究目標である、活性型ビタミンD3類縁体のマイクロフロー合成法の確立、有用性の実証には成功したが、合成した化合物の精製時のロスについて検討することがこの二年間での研究においての懸案となっていた。そこで、本年度はマイクロフロー合成により得られた化合物をこれまでのようにHPLCを用いて単離精製するだけでなく、NMRを用いて内部標準との積分比の比較によっても収率を求めることとし、また、副生成物の同定と後処理時に分解物が生成しないか否かについても検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|