2013 Fiscal Year Annual Research Report
ベースメタル「鉄」を用いる多官能性化合物の効率的合成法の開発
Project/Area Number |
23750102
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
秦 猛志 東京工業大学, 生命理工学研究科, 准教授 (40419271)
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Keywords | 鉄触媒 / ユビキタス元素 / 低原子価鉄試薬 / グリニャール試薬 / 官能基共存型反応 / シクロプロパン / ビタミンK / ニトロ化合物 |
Research Abstract |
申請者は,鉄触媒を利用する種々の多官能性鎖状および環状化合物の合成法を見出し,既に報告している(Angew. Chem. Int. Ed. (2008年), Organic Letters (2010年), Chem. Eur. J (2011年), Adv. Synth. Catal. (2012年)).そこで,平成25年度は,上述の反応の更なる適用性の拡大および応用展開を狙い,官能性ジエンエポキシドを用いて種々の多官能性鎖状化合物合成および天然有機化合物合成をおこなった.具体的には,触媒量のFeCl2存在下で,ラセミ体の(4RS,5RS,E)-N,N-ジエチル-4,5-エポキシ-2-オクテンアミドにt-ブチルグリニャール試薬を作用させると,それぞれのエナンチオマーがペア選択的にカップリングして,(1RS,2RS,3RS)-N,N-ジエチル-2-[(1RS,4SR,E)-1-(N,N-ジエチルカルバモイル)-4-ヒドロキシ-2-ヘプテン-1-イル]-3-[(RS)-1-ヒドロキシブチル]シクロプロパンカルボキシアミドを単一の異性体として得ることができた.また,光学活性なtert-ブチル (4R,5S,E)-4,5-エポキシ-8-メチル-2-ノネノエートを出発原料にして,FeCl2触媒存在下での選択的メチル化反応を反復利用することにより,ビタミンKの合成既知中間体である(6R,10R)-6,10,14-トリメチル-1-ペンタデシンへの適用を確認し,その形式的全合成を達成した.一方,申請者は,上記の研究途上において,触媒量のFeCl2とt-ブチルグリニャール試薬から調製した低原子価鉄触媒Fe(MgCl)2を利用して,ニトロ化合物とグリニャール試薬との還元的カップリング反応による選択的アミン合成法も見出した.具体的には,1-ニトロオクタンとブチルグリニャール試薬より,(ブチル)オクチルアミンを合成することができた.なお,本年度は,鉄塩触媒存在下でのスルホニルジエンとグリニャール試薬との位置および立体選択的付加反応に関する研究成果をAdvanced Synthesis & Catalystに報告することができた.
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Research Products
(6 results)