2012 Fiscal Year Annual Research Report
ポルフィリンの特性を活かした分子触媒の設計と水和反応への応用
Project/Area Number |
23750109
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中 寛史 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 助教 (70431517)
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Keywords | 錯体・有機金属触媒 / 反応有機化学 / 水和反応 / ポルフィリン / 分子触媒 |
Research Abstract |
アルキンの水和反応はカルボニル化合物を合成する有効な手法の一つである.この反応は古くから主に水銀触媒を用いた研究・実用化がなされた.水銀に由来する毒性が問題となって以降,様々な代替触媒が模索されたが,しばしば酸性条件を必要とするため適用できるアルキンの基質が限られていた. そこで本研究ではポルフィリンの特性を活かした分子触媒を設計による官能基選択性の高いアルキンの水和反応の開発を目的とした.その結果,水溶性のコバルトポルフィリン錯体がほぼ中性条件下から微酸性条件下で末端アルキンの水和反応を進行させることを見出した.ハロゲンやニトリル,エステル,アミド,ニトロ基など有機合成に用いられる基本的な官能基は本反応で損なわれない.さらに,本反応では強酸の添加が必要無いことから,従来の手法では適用が困難なグリコシド結合やシリルエーテル,トリチルエーテルなどの官能基の共存が可能であった.以上の結果は医薬品や機能性物質などの有用物質を精密に合成する上で本反応が有効な手法となりうることを期待させる. またNMR や ESR, UV-vis, ESI-MS などのスペクトルや単結晶X線結晶構造解析を用いた解析により触媒前駆体の構造を明らかにした.さらに速度論的およびDFT計算により触媒反応の機構に関して幾つかの知見を得た.
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