2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23750111
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
柴富 一孝 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00378259)
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Keywords | 有機合成 / フッ素化学 / 不斉合成 / ルイス酸触媒 / Diels-Alder反応 / マイケル付加反応 |
Research Abstract |
含フッ素有機小分子は医農薬品の合成中間体として需要が大きい。中でもトリフルオロメチル基に代表されるフルオロメチル基は生物活性物質の機能向上のために汎用される置換基である。しかしながら不斉炭素上への立体選択的な同置換基の導入は困難であり、効果的な手法の開発が求められている。以前に我々は,ルイス酸活性化型キラルオキサザボロリジン触媒を用いたαーフルオロエノンの不斉Diels-Alder反応を報告した。今回,同触媒を利用したβ-フルオロメチルアクリル酸エステルの不斉Diels-Alder反応により,不斉炭素上にフルオロメチル基を持つシクロヘキセン類を高エナンチオ選択的に合成することに成功した。本反応は99%eeという極めて高い立体選択性で進行する。また、βージフルオロメチルアクリル酸エステル、およびβーモノフルオロアクリル酸エステルをジエノフィルとすることで不斉炭素上にジフルオロメチル化合物、モノフルオロメチルを導入することも可能であった。いずれの反応も99%ee の立体選択性で進行する。さらに得られた付加体を,シキミ酸エステル誘導体等の医薬原料となり得る含フッ素化合物へ変換することに成功した。 次に4,4,4-トリフルオロメチルクロトンアルデヒドを合成し、これを反応基質とした不斉マイケル付加反応を行うことで、不斉炭素上にトリフルオロメチル基を持つβ二置換アルデヒドを最高99%eeで合成した。本反応ではプロリン誘導体を有機分子触媒として利用することで高いエナンチオ選択性の発現に成功した。求核剤としては芳香族化合物、オキシム、アルキルチオール等を用いることができる。さらに得られた付加体を利用してMAO-A阻害剤であるベフロキサトンを合成することに成功した。
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Research Products
(5 results)