2012 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学的に発生させた活性有機金属種を用いる新規カップリング反応の開発
Project/Area Number |
23750113
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
光藤 耕一 岡山大学, 自然科学研究科, 准教授 (40379714)
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Keywords | カップリング反応 / ホモカップリング反応 / クロスカップリング反応 / ビアリール / ジイン |
Research Abstract |
本研究の目的は電気化学的に発生させた活性種を触媒・反応剤に用いた新規カップリング反応の開発である。 最終年度は前年度に開発した電気化学的に発生させたPd活性種を触媒とするカップリング反応をヘテロ原子を含むヘテロ芳香環分子構築へと展開すると共に新しいカップリング反応への拡張をめざした。これまでに既に電気化学的触媒再活性化プロセスを組み込んだ末端アルキンのホモカップリング反応による効率的π拡張ジインの合成法を報告している。しかし、ヘテロ原子を含む芳香環、例えば硫黄を含むヘテロ芳香環であるチオフェンを有するアルキンはこれまでの条件下では生成物の過酸化が起こり、著しく収率が低下することが分かっていた。機能性分子を創成する上でヘテロ芳香環の導入は必要不可欠である。そこで、ジインカップリングにおける種々の条件検討を行なった。触媒・添加剤等の反応条件を種々検討したところ、従来アセトニトリル/水(7/1)の混合溶媒中で反応を行なっていたが、これを水の比を増やしアセトニトリル/水(2/3)とした溶媒中で反応を行なうと収率が向上することを見いだした。これは、水の比を増やすことで生成したジイン誘導体が溶解できなくなり、溶液中から固体として析出することで生成物の過酸化が抑制されていると思われる。また、同条件下、チオフェン環がさらにπ拡張されたベンゾチオフェン骨格を有するジインを合成することにも成功した。3位にブロモ基を有する2-エチニル-3-ブロモベンゾチオフェンもジイン誘導体へと変換可能であり、誘導されたジインはさらに分子変換を行なうことで、3位に様々な置換基を有する誘導体へと誘導可能である。 2年間の研究期間全体を通して、電気化学的に発生させた活性パラジウム種を触媒とする効率的カップリング法を開発した。電気化学的に発生させた活性種は一般的に高い反応活性を示し、合成化学的に有用である。
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Research Products
(10 results)