2011 Fiscal Year Research-status Report
鉄反応剤によるラジカル種の触媒的発生法の開発と精密有機合成への応用
Project/Area Number |
23750114
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
米山 公啓 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80432681)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 鉄 / フェノール / カルコゲン化反応 / カップリング |
Research Abstract |
酸素雰囲気下で鉄反応剤とフェノールとPhSSPh(あるいはPhSeSePh)からフェノールのオルト位がPhS(あるいはPhSe基)で置換したカップリング体が選択的に形成する予備的な知見を既に得ていた.しかし,現段階ではフェノールの転化率が低く,20%程度のカップリング体しか得られていない. そこで本年度は,反応基質をフェノールとPhSSPhに固定し,反応活性化因子(鉄反応剤の種類や溶媒,反応温度,他の酸化剤の効果)について種々検討し,効率的なスルフェニル化反応の開発を目指した.その結果,鉄反応剤としてはFeCl3を用い,DCE中で,80度という条件で反応を行うことで反応効率の大幅な改善に成功した。また,見積もった最適条件を用い,様々なフェノール誘導体との反応を調査した結果,オルト位,メタ位,パラ位に様々な官能基が置換した多様なフェノールにまで本反応を拡張できることが判った.また、この反応を生理活性物質合成に応用し,グリシンT1阻害剤として有用性の高いジアリールスルフィド化合物への計画合成にも成功した.ここで得られた結果を参考に,PhSeSePhとの反応を検討し,フェノールの高選択的なセレニル化反応の開発にも成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初予定していたフェノール類のカルコゲン化反応は,研究実績の概要で示したように,計画した通りの成果が得られた.現在は,次の研究テーマである「鉄反応剤を用いた効率的なアリールラジカルの発生法の開拓とこれらを用いたクロスカプリング反応」を探索しており,順調に結果が出ている.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度に得られた成果に基づき,次年度は鉄反応剤を用いた様々なアリールラジカル種の発生法の開発にテーマをシフトしていく予定である.ここで得られた知見に基づき,(ヘテロ)芳香族化合物などとのクロスカップリング反応の達成を目指す.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主に,薬品購入費として使用する予定である.
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