2011 Fiscal Year Research-status Report
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23750115
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松田 学則 東京理科大学, 理学部, 講師 (80359778)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | ロジウム / スピロビインダン / β炭素脱離 / 1,4-ロジウム移動 / ビスシリル化 / η2-ビニルロジウム / シロール / 環状骨格構築反応 |
Research Abstract |
ロジウム(I)種の移動を積極的に触媒サイクルに組み込んだ環状骨格構築反応の開発を目的として、研究実施計画に平成23年度分として記載した2つの反応について検討を行った。その結果、1.シクロブチリデン酢酸エステルとアリールホウ素化合物のロジウム(I)触媒反応によるスピロ骨格の構築については、当初目的としていた結果が得られたため、2011年9月に行われた第58回有機金属化学討論会、および2011年12月に行われた9th Symposium on Chemical Approaches to Chiralityにおいて研究成果発表(ポスター)を行い、さらに英国王立化学協会発行のChemical Communications誌第48巻(2012)第24号2988-2990ページに研究結果が掲載された。2.7-オクテン-2-イン酸エステルとアリールホウ素化合物のロジウム(I)触媒反応によるビシクロ骨格の構築に関しては、種々検討した結果、アルキンへの付加の後の1,4-ロジウム移動が起こりにくいことが判明したため、計画をいったん中止した。金属移動という制限が、有用な環状骨格構築反応の開発の障害になっているとも考えられたため、その他の反応についても種々検討を行った結果、ロジウム触媒分子内trans-ビスシリル化による含ケイ素環状骨格構築反応を開発することができた。この結果は、2011年9月に行われた第58回有機金属化学討論会、および2012年2月に行われた10th Symposium on Chemical Approaches to Chiralityにおいて研究成果発表(ポスター)を行い、さらに英国王立化学協会発行のOrganic & Biomolecular Chemistry誌第10巻(2012)第16号3175-3177ページに研究結果が掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
開発に成功した1.シクロブチリデン酢酸エステルとアリールホウ素化合物のロジウム(I)触媒反応によるスピロ骨格の構築反応においては、2回の1,4-ロジウム移動を経由して3回の炭素ー炭素結合生成を起こさせ、スピロビインダン誘導体を良好な収率で得ることができた。当初の目的であった2回の1,4-ロジウム移動を含むロジウム触媒アリール化による複雑な環状骨格構築反応の開発をスピロ化合物については達成できたことから、平成23年度の研究目的はほぼ達成されたと考えている。しかし、同様に1,4-ロジウム移動を経るビシクロ骨格の構築反応に関しては、1,4-ロジウム移動が起こりやすい状況を作り出すことが現時点では困難であることが判明したため、研究計画を若干修正する必要が生じた。引き続き、検討を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度においては、研究実施計画の3.~5.に記載した金属移動を経由する連続的環状骨格構築法の開発について検討を行う予定である。さらに、3-アゼチジノンのロジウム触媒アリール化による3-インドリノールの合成も計画している。この反応は、アリールロジウム(I)種のアゼチジノンのカルボニル結合への付加の後、β炭素脱離と1,4-ロジウム移動によってアリールロジウム(I)種を再生し、最終的に分子内環化によりインドリノールを与えるものである。しかし、金属移動という制限が簡便かつ効率的な環状骨格構築法の開発の妨げになっていることも事実であるため、金属移動を経由しない環状骨格構築反応についても平行して検討を行いたいと考えている。具体的には、最近開発に成功したパラジウム触媒によるシクロプロペノンの開環アルキニル化を基にしたシクロブテノンの開環アルキニル化/閉環によるシクロペンテノン誘導体の合成、および同じく最近開発に成功したパラジウム触媒によるベンゾヒドラジドの酸化的C-Cカップリングを基にしたベンジリデンヒドラジドの酸化的C-C/C-Nカップリングによるピラゾール類の合成に関する研究を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費のほぼ全額を消耗品費として使用する。具体的には、有機試薬、有機溶媒、実験器具、遷移金属化合物、シリカゲル、無機薬品である。有機金属化学討論会(大阪大学)、または日本化学会春季年会(立命館大学)にて行う研究成果の発表の出張経費(研究代表者)として10万円以内を使用する予定である。
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Research Products
(6 results)