2012 Fiscal Year Annual Research Report
新規鉄触媒設計に基づくアジドを用いるナイトレン移動反応に関する研究
Project/Area Number |
23750116
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
江上 寛通 独立行政法人理化学研究所, 袖岡有機合成化学研究室, 客員研究員 (50553848)
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Keywords | 二核錯体 / 触媒設計 / 酸化反応 |
Research Abstract |
有機分子骨格に酸化的な官能基化を施すことで、複雑分子合成の効率を飛躍的に向上させる試みが活発に行われており、特に近年では、環境調和性や用いる金属触媒の持続性を考慮した、新たな触媒の開発が望まれている。そこで本研究では、有機分子骨格の酸化的な官能基化反応、特にナイトレン移動反応を触媒しうる新規触媒を設計、合成し、その触媒能を評価することを目的とした。新規触媒設計の指針として、ヘテロ原子で架橋された二核錯体および金属-金属間相互作用を持つ二核錯体の性質に着目し、鉄錯体を中心とした新規遷移金属触媒を種々設計した。当初の計画通り前年度までに、新たに設計した新規配位子のモジュラー型合成法を確立し、様々な配位子を系統的に合成することに成功した。本年度は本研究目的を達成するため、種々の鉄錯体の合成検討およびそれを用いたナイトレン移動反応の検討を行った。残念ながら現在までに、環境調和性の高いアジドをナイトレンソースとしたナイトレン移動反応を触媒する鉄錯体を見出すことはできていない。しかしながらこれまで得られた知見を活かし、今後も新規触媒の更なる展開を行う予定である。 一方で、銅二核錯体が分子上酸素を酸素源とする種々の酸素導入反応を触媒することを見出すことができた。そこで錯体のチューニングを行い、より強固な配位子を用いることで触媒回転数の飛躍的な向上に成功した。また本触媒はカルベン移動反応にも有効な触媒となりうることを見出した。
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